今回は賃貸の鉄筋コンクリート造に限定した、騒音トラブルとその対処法について解説します。
騒音の苦情を言われて怖い思いをした事がありませんか?
悩んでいませんか?
マンションなので音に強いと言われたのにと困惑していませんか?
この記事はこんな方にお勧めです。
悩み、疑問
- RCマンションなのに苦情を言われた。
- 子供の足音を指摘され、限界を迎えている。
- 普通に生活しているだけなのに、どうしていいか分からない。
- RC造マンションってうるさい?音が響かないはずでは?
- RC造マンションって、どんな構造なの?
- RC造マンションなのに、防音対策は必要なの?
- 防音性能の高いと言われているRC造マンションで部屋探しをしている。
この記事の見解
この記事を読んでいる方の本当の目的は「騒音問題、騒音トラブルを解消したい」事だと思います。
実はRC造マンションであっても音は響き、騒音トラブルは発生します。
騒音トラブルに効く特効薬はありません。
よって騒音問題を解決する事は難しく、長期化する傾向にあります。
理由は音をゼロにする事は不可能だからです。
特効薬がない以上、知識だけでは解決につながらない可能性があります。
この記事では気持ちの整理や、騒音に対する姿勢、心構え、ストレスの軽減の材料として、参考にしていただくと良いかもしれません。
結論
騒音トラブルの完全解決は無音状態の維持。
対処法は大きく3つ。
- 従順(対策する、配慮する、耐える)
- 対抗(言い返す、無視する)
- 逃避(引っ越す)
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と、実情の把握
- 賃貸知識と、知恵の習得
- 取引の疑問と、不安解消
- 判断力と、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
騒音の仕組み
まずRC造マンションの構造や仕組みを理解しましょう。
RC造マンションの構造はラーメン構造と壁式構造があり、一般的に柱と梁と壁がコンクリートで作られています。
物件や仕様により異なりますが、基本的にはどちらも防音性能は高く、強度も強いと言えます。
ちなみに木造や鉄骨造の柱、梁は木や鉄で構成され、壁はスポンジのような吸音材と石膏ボードで仕切ります。
ボードとボードの間の空洞に吸音材や断熱材を入れてあります。
コンクリートの壁とスポンジ入りの壁、どちらが響きにくいと思いますか?
- 間仕切りがコンクリートではない → 響きやすい
- 躯体の厚みが薄い → 響きやすい
- 2重構造 → 響きにくい
もう少し詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
アパートとマンションどっちがいい?違いや定義、騒音トラブルなどを解説。RC造マンションの防音性能は高いと言えますが、ゼロにする事はできません。
実は音は2種類に分ける事ができます。
- 空気伝搬音 ➡️ 手を叩く音、喋り声、テレビの音、等
- 重量衝撃音 ➡️ 足音、ドアの開閉音、椅子を引きずる音、重低音、等
コンクリートは空気伝搬音には滅法強いと言えますが、重量衝撃音は音を伝達させる性質を持っています。
RC造マンションの騒音は話し声も稀にありますが、最も多い苦情は足音等の重量衝撃音です。
RC造マンション騒音の特徴
- ズンズンとうっすら響く
- 下の階以外(斜め方向にも上階方向)にも伝わる
- 発信源を特定する事が難しい
- テレビがついていると気づかないレベルもある
- 静かな夜中が苦情になりやすい
- 子供の足音が苦情になりやすい
- 音楽の重低音が苦情になりやすい
この記事を読んでいる方は、これに近い事を言われたり、心当たりがあるのではないでしょうか。
特に相談が多い相談は、子供の足音と音楽の重低音です。
子供の足音は言って聞かせる(改善する)事が難しく長期化する傾向にあります。
また、音楽が好きな人はRC造マンションだから大丈夫だろうと、大きな音量で音楽を聴いてしまいます。
注意しても「これ以上音量は下げられない」と改善をしない方もらっしゃいます。
トラブル要因は認識と感覚の違い
RC造マンションだから大丈夫、と思っている方、音が心配だからRC造マンションを選んだという方が多くいらっしゃいます。
RC造マンション、という以前に共同住宅であるという事を認識しましょう。
そしてRC造マンションだから大丈夫と過信せず、RC造マンションでも音は響くと認識しましょう。
過信の要因は空気伝搬音だと考えられます。
RC造マンションは通常の話し声程度なら基本的には聞こえません。
防音性能が高い、話し声などはほとんど響きませんよ、という説明から、音は響かない、騒いでも大丈夫と、いつの間にか変換されてしまうのです。
人により感じ方は違います。
一方は気になり、一方は気にならないレベルがあるのです。
これは当然の話で当たり前なのですが、これが最も厄介です。
騒音を与える側も、与えられる側も当然感覚が違い、感覚が違う以上、分かり合える可能性は極めて低いのです。
経験上、RC造マンションの住人は神経質な方が多く、苦情を言ってくるほとんどが中年の男性です。
奥様が神経質で旦那を経由している事もある為、どうしても男性中心に偏ります。
女性自身が激高している事も稀にありますが、割合は少ないです。
神経質な方はほんの少しの物音でも過敏に反応し、生活音であっても苦情を言ってきます。
生活音はお互い様で仕方がありません。
では最も相談の多い子供の足音はどうでしょうか?
子供の足音は生活音でもあり騒音でもあります。
音の大きさや頻度、時間帯によっては騒音となり得るので注意が必要です。
子育て世代の方は気にならない音も、お子様の居ない世帯にとっては耐え難いものがあるでしょう。
防音性能の低い木造アパートは、響くことが当たり前なので多少の物音ではいちいち苦情を言いません。
事実は一つ、真実は相手の捉え方で変わるのです。
昨今はコロナによるリモートワークが増加し、在宅時間が増えたことで騒音トラブルも増加しています。
この人が発する音だけは許せない、といった場合があります。
例えば嫌がらせを受けたとか、以前苦情を言われたとか、壁をドンと叩かれた、無愛想、挨拶をしない、等。
些細な事が2次的要因となり、少しの物音でも許容できず、苦情となってしまう場合があります。
仲良くする必要はありませんが、良好な関係を日頃より意識しましょう。
引っ越し時点で挨拶に行く事も、多少の効果が見込めます。
苦情を言われた時の対処法
騒音を我慢し続けている人は、不満が爆発する事があります。
爆発してしまうと直接張り紙や手紙を渡されたり、インターホンを鳴らし怒鳴り込んできたりするでしょう。
直接話す行為はお勧めできません。
話が複雑化しお互い冷静さも失います。
相手が凄い剣幕で自宅へ押しかけてくる場合があります。
この場合は決して玄関を開けず、警察に相談しましょう。
傷害事件の事例は、私の管理する物件でもあります。
エントランスや廊下などで遭遇してしまう場合もあります。
直接苦情を言われても相手との接触を回避する事に注力し、直接話さず管理会社に相談させてほしいと早々に引き上げましょう。
- 音楽を大音量で聞いてしまった。
- 友人と騒いでしまった。
- 楽器を演奏してしまった。
- 室内で運動をしてしまった。
素直に謝りましょう。
そして、今後は控えましょう。騒音の苦情は解決となります。
心当たりがある場合、虚偽の申告はやめましょう。
- 普通に生活をしている、騒音を出しているつもりはない
- 子供が小さく、注意はしているが改善できない
- 音楽の音量は抑えている
- 物音を出さないよう慎重に生活している
- 別の部屋の騒音だった
改善できない問題は基本的に長期化します。
管理会社へ事情を説明しどうしたら良いか相談し、指示をもらいましょう。
管理会社が理解してくれれば、説得してくれる場合があります。
騒音トラブルの解決方法
騒音を発生させている以上、解決方法は音を無くすしかありません。
よって根本的解決はできません。
苦情を言われた時の選択肢は2択、苦情に付き合うか、付き合わないか、です。
そして大半の人は苦情になってしまった事を反省し改善を図ります。
事情を話し、仕方がないと相手が引き下がる事もありますが、騒音がある以上解決には至りません。
「苦情に付き合う」を選択される方は、防音対策を実施し音を限りなくゼロに近づける努力をしましょう。
防音対策を実施しても、相手は騒音と感じれば容赦なく苦情を言ってきます。
回数を重ねるごとにお互いストレスは増幅します。
「苦情に付き合う」を選択した方も、いつしか言い返し「苦情に付き合わない」を選択する日が来てしまうのです。
騒音トラブルが大きくなってしまうのは、ほとんどがこのような理由です。
苦情相手と騒音に上手く付き合っていく事が求められます。
- 防音シート
- 防音マット、防震マット
- 防音カーテン
- 吸音パネル
- 隙間テープ
- 椅子の脚にフェルト
- スリッパ
- オーディオ機器の配置
ご自身でできる限りの対策を実施しましょう。
賃貸物件で使用できる商品も販売されているので、いくつかご紹介します。
第一位 防音マット
価格:13,200円 |
RC造で最も多い苦情は足音です。
第2位 チェアソックス
価格:1,180円 |
「机や椅子を引きずる音」も足音に次いで多い苦情となっております。
第3位 防音パネル・カーテン
価格:33,660円 |
防音カーテン 遮光1級音を漏らさない! 五重構造防音カーテンコーズ 幅110cm×丈178cm 2枚組 窓からの騒音対策に 断熱 日本製【365日発送】 価格:26,840円 |
床+壁やカーテンへの配慮で防音効果は高まります。
相手が過敏に反応している可能性があります。
事例としては少ないのですが、騒音計で測定し客観的に判断しルール化てもらいましょう。
価格:3,980円 |
例えば50デシベル以上を騒音とした場合、それ以下であれば苦情を言わない、それ以上であれば注意する等。
数値化する事で常識的な物音のレベルを把握する事ができます。
携帯で録音する方もいます。
自身が細かすぎた、という認識を持ってくれれば解決できる兆しは見えてくるかもしれません。
はっきりと否定し、言い返す方もいます。
この場合一歩も譲らず対抗する事になります。
- 自身は騒音を出していない
- 子供の足音だから仕方がない
- 私は絶対に悪くない
- 生活音は改善できない
- これ以上改善できない、するつもりはない
相手から永遠に苦情を言われ続けると、ストレスは限界に達します。
初めのうちは謝罪し丁寧に対応していた方であっても、開き直り気を遣う事をやめてしまうでしょう。
結果言い返したり無視する事となります。
相手を刺激する為、より関係性が悪化するリスクを伴います。
解決に至らない可能性もありますが、相手が言うのを諦めたり、呆れて退去する場合があります。
推奨はできませんが、騒音トラブルを強制的に抑え込む一つの手段となっています。
神経質すぎる方は共同住宅での生活は不向きです。
無音状態を望む方は防音設備のある物件に住むしかありません。
管理会社に退去を促してもらいましょう。
簡単に言っていますが、決して簡単な事ではありません。
一切介入しない管理会社もあります。
何故騒音を受けている被害者が退去しなければならないのか、と憤慨する方もいるでしょう。
- 貸主からの解約は正当事由が必要になる。
- 苦情内容が常識の水準を超えているという客観的な確証、証明、判断が必要になる。
- 紛争に発展するリスクを伴う。
- 時間がかかる。
神経質な方からの苦情は管理会社も困っています。
毎回長々と苦情を聞き、同じ相手に同じような事を何度も伝達しなければならず、伝達相手からも怒られる為、正直きついです。
本音で言えば管理会社も退去してもらいたい、と思っているでしょう。
私の経験上、直接怒鳴り込んでくるような方がいると、たとえあなたが退去しても、次に住んだ方も退去します。
退去されると空室になり修繕や入居募集等の経費がかさみ損失が出ます。
管理会社や貸主にも実害があるのです。
物件の価値が下がると言っても過言ではないでしょう。
契約は信頼関係で成り立っています。
このまま苦情を言い続けると「契約の継続が困難になる」と、ほのめかしてもらうと良いかもしれません。
相手が堪え苦情頻度が減少したり、愛想を尽かして退去する事もあります。
常識の範囲を超える騒音を発している場合は別、素直に認め改善しましょう。
腑に落ちない、悔しいかもしれませんが、引っ越しをしましょう。
危ない人との接触は極力避ける事をお勧めします。
賃貸だからこそ可能な選択肢かつ最終手段となります。
たくさんあるはかりごとのうち、困ったときは、あれこれ考え迷うよりは、機を見て逃げ出し、身を安全に保つことが最上の方法である。臆病やひきょうなために逃げるのではなく、身の安全をはかって、後日の再挙をはかれ、ということを教えたもの。転じて、めんどうなことがおこったときは、逃げるのが得策であるの意。逃げるが勝ち。三十六策走るを上計となす。三十六計。
コトバンク
おすすめの対処方法は従順
上記内容を要約すると対処方法は、従順、対抗、逃避、の3択となります。
騒音問題は長期化する場合があり、おそらく今後もあります。
とにかく我慢し、真っ向から受け止め付き合っていく決意をしましょう。
消去法の選択となりますが、大半の方が従順を選択をします。
この記事を読んでいる方は、苦情を言い続けられているはずです。
気遣いをしている中での3回目の苦情は、精神的な苦痛が大きいですよね?
防音対策もしている、静かにしている、もう大丈夫、と思っている中での苦情は耐え難いものがあります。
真面目な性格で無視する事もできず、ストレスや怒りだけが膨れ上がり、うんざりしている事でしょう。
開き直るのも3回目あたりからです。
3回言われた時点で、他の部屋探しを始める「逃避」か、継続して「従順」を選択するか方向性を判断すると良いかもしれません。
私ならこの時点で「逃避」を選択します。
おそらく4回目、5回目もあります。
「従順」を選択する方は、家に帰るたび神経を使い、ストレスを抱えながら生活する事がほぼ確定していると言えるでしょう。
逆に言うと、来ると分かっていれば、精神的ストレスの軽減を図る事ができます。
ポイントは過度に気にしない事です。
四季が移り行く感覚で「もうそんな季節か」と割り切り、お付き合いをしていきましょう。
引越しには手間もお金もかかります。
何で私が引っ越さなければならないのかと、負けたような気持にもなる事も分かります。
逃げるが勝ちです。
仮に10万で引越し、安らぎを手に入れる事ができるとしたらどうでしょう?
では30万、50万では?
単に、相手に従いたくない、負けたくない、という意地で張り合っている方、相手以上に疲弊しないよう、何をもって負けなのか整理をしましょう。
賃貸で良かった、勉強になった、とプラス思考で切り替えて考えましょう。
「逃避」の結論に至った方。
部屋探しはネット検索が基本です。
ネット情報が主流となった現代において、不動産屋の情報は類似しています。
よって私が推奨する不動産屋は特にありません。
良い取引は担当者で変動します。
また、インターネットは情報が多すぎます。
選択肢過多は、心理的負担を伴いストレスを感じやすくなります。
SUUMOを眺め続け、何年も経過してしまう方も数多く存在するのです。
この記事を読んでいる人は、既に疲弊している状況だと考えられます。
引越しはしたいけど、物件が多すぎて断念している方。
検索する気も無くなった、という方もいるでしょう。
ポイントは物件の検索と選定のストレスを軽減することです。
検索と選定は省略できます。
下記のようなサイトで検索と選定は不動産業者に任せ、物件の提示を待ちましょう。
提示された物件で吟味しましょう。
解決する為の選択は年代や家族構成、苦情頻度や苦情の強さにより変化します。
今までの事例から傾向をまとめてみました。
- 単身の男性 ➡ 従順、又は対抗(やや攻撃的、おとなしい方も)
- 単身の女性 ➡ 従順、後に逃避(おとなしく、心配性な方が多い)
- 新婚・同棲 ➡ 従順、後に逃避(単身女性に考え方は近い)
- ファミリー ➡ 従順、後に対抗(奥様は強い、旦那は居ない事が多い)
- 熟年夫婦 ➡ 従順(苦情を言う側のイメージ)
全員一度は従順、恐怖心を抱いた方は、逃避の確率が跳ね上がります。
まとめ
- 従順(配慮する、対策する、耐える)
- 対抗(無視する、言い返す)
- 逃避(引っ越す)
騒音問題は永遠の課題と言えます。
個人的にも特効薬がなく困り果てています。
そして管理者の対応によっては、標的が管理者になってしまう場合もあります。
基本的にはどちらの言い分も正しく、どちらも我慢しているのです。
無音以外に、円満解決はありません。
苦情が収束している状態は、どちらかがストレスを抱えながら生活し、我慢をしています。
お互いが常に様子を気にする必要があり、解決と呼べるまでには時間もかかります。
騒音が解決したと断定できるのは、どちらかが退去した時です。
苦情解決の正解は誰にも分かりません。
苦情を受けている方は大変気の毒ですが、誤った選択をなさらないよう、くれぐれもご注意ください。