今回はお部屋探しをしている方に向け、マイソクとは何かを解説いたします。
不動産会社へ入社した新人の方、不動産を勉強中の方にも。
この記事を見ている方は、比較的不動産関係者が多いのかなと思います。
普段マイソクと言う言葉を口にしている方、違和感を持っている方も多いのではないでしょうか。
実は私もその一人です。
最近使われなくなってきた印象はありますが、念の為この記事でまとめておきます。
結論
- マイソクとは賃貸や売買の図面、物件資料
- 語源は会社名
- 契約条件の他、会社情報や手数料区分もチェック
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
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常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と実情の把握
- 賃貸知識と知恵の習得
- 取引の疑問と不安解消
- 判断力、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
マイソクの意味と語源
マイソクとは不動産情報が記載された資料です。
物件を探しに行って不動産屋に手渡されたり、不動産屋の店頭に貼ってある資料です。
家賃や敷金、礼金、おすすめポイントなどが載っている、よく見るあれです。
さまざまなテンプレートがあり、資料により見やすさや会社の特徴を感じられますが、基本的な掲載項目は同じです。
マイソクは自身で作成する事もできますが、SUUMOやathomeやhomesにも様々テンプレートが用意されています。
現在はこのような媒体でのインターネット広告が主流となります。
インターネット掲載をすれば自動的にマイソクは生成され、簡単に出力する事ができます。
マイソクという言葉の由来、語源は株式会社毎日速報センターという、資料を発行していた広告会社の会社名です。
昔は物件情報といえば、紙媒体での発信が当たり前でした。
毎日速報センターの営業マンは、毎日のように図面を配布。
その際に「毎速(マイソク)です」と言っていた事から、その図面がマイソク図面と呼ばれるようになりました。
そしてその会社名の略語でもあるマイソクという言葉が浸透。
不動産広告や図面自体を総称してマイソクと呼ぶようになりました。
現在、株式会社毎日速報センター社は、株式会社マイソクと会社名を変更しています。
私は発祥の時点で関わっておらず、初めて不動産会社に入社した時点で、マイソクある?とかマイソクできた?とかマイソクFAXして、とか、マイソクという言葉が飛び交っていました。
マイソクってなんですか?と聞くと、物件資料(図面)の事だよと、当たり前のように回答された記憶が今でも残っています。
20年以上前、私が携わった時点では既にマイソクと呼ばれていました。
不動産業者はマイソクという言葉をよく使っていますが、業界用語に近い言葉なので、お客様には物件資料、図面、詳細資料などと言いながら渡す事が多いです。
マイソクには諸条件が記載
物件資料は基本的な条件が記載されています。
- 敷金
- 礼金
- 保証料
- 保険料
- 鍵交換
- 消毒、消臭、抗菌代
- その他特殊な費用等
- 賃料
- 管理費(共益費)
- 駐車料
- 駐輪料
- 町会費
- 契約期間
- 更新料
仲介手数料は割合しか記載がありません。
マイソクには設備情報が記載
契約条件以外だと設備です。一般的は表記としては、下記のような記載があります。
共用部分の設備はこちら
- エレベーター
- インターネット設備
- 都市ガス(プロパンガス)
- 宅配ボックス
- オートロック
- 防犯カメラ、等
専有部分の設備はこちら
- エアコン
- バストイレ別
- キッチン種類
- 暖房便座
- ウォシュレット
- 畳
- フローリング
- 鍵形状
- WIC(ウォークインクローゼット)
- シューズホックス
- 洗面化粧台
- インターホン
その他、一般的な住所や最寄駅や徒歩分数の表示。
徒歩分数の表記は80m、1分と決まっています、やや早歩きの速度です。
坂道や信号などはカウントされません。
それから構造(木造・鉄筋コンクリート造等)や号室や階数や間取りや配置図、物件のアピールポイントや注意事項なども書いてある場合があります。
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ちなみにもう一つ言っておきたい事として、誰もがあまり見ない、一番下の帯部分にも情報があります。
帯情報と呼んだりします。
帯情報には不動産会社の情報や免許番号、仲介手数料の負担割合が書かれています。
どうでしょう、見たことありますか?
雑学に近い知識で、日常的に使えるわけではありませんが、部屋探しの際には知っておいても損はないと思うので、是非参考になさってください。
マイソクには手数料割合と業者情報が記載
帯情報には手数料の負担割合や、不動産業者の会社情報、その他業者間のコメント等が表示されている事もあります。
仲介手数料の負担割合とは、お客様が仲介手数料をいくら払うか、と言うことです。物件資料の一番下の帯部分にこのような表が小さく書かれているのですが、お分かりでしょうか?
貸主 | 0 | 借主 | 100 |
元付 | 0 | 客付 | 100 |
一つづつ説明しましょう
- 貸主 → 貸す人
- 借主 → 借りる人
- 元付 → 貸主側の不動産会社
- 客付 → 借主側の不動産会社
- 貸主 0 → 貸主の仲介手数料負担は無し
- 借主100 → 借主の仲介手数料負担は100%(1ヶ月分+税)
- 元付 0 → 元付業者は手数料を受け取りません
- 客付100 → 客付業者は手数料を100%受け取ります
今回の場合、借りる人が、案内してくれた不動産会社に手数料を払う、と言うことです。
この例が一般的で、ほとんどの不動産業者が、このような形式で取引をします。
ちなみに次の場合はいかがでしょう?
貸主 | 50 | 借主 | 50 |
元付 | 0 | 客付 | 100 |
- 貸主 50 → 貸主の仲介手数料負担は50%(0.5ヶ月分+税)
- 借主 50 → 借主の仲介手数料負担は50%(0.5ヶ月分+税)
- 元付 0 → 元付業者は手数料を受け取りません
- 客付100 → 客付業者は手数料を100%受け取ります
この場合だとお客様が支払う手数料は半額となります。
もう半分は貸主が支払い、客付業者は双方から合計1ヶ月分の報酬を受け取る、と言う事になります。
なんとなく分かっていただけましたか?
仲介手数料の借主負担は1ヶ月が一般的で、ほとんどの不動産会社がこういった負担割合となっています。
仲介手数料半額、を標準としている不動産会社は、二番目の数値を標準としている事が多いのかなと感じます。
仲介手数料、なぜ無料?なぜ半額?無料は怪しい?からくりや理由を解説。元付50はあまり見かけませんが、この場合は、大もとの不動産会社に手数料を半分払うことになりますが、これを標準としている不動産会社もあります。
仲介業者が一社の場合、客付元付合算で100となります。
不動産業者は宅建業を営む場合、宅地建物取引業の免許が必要となります。
免許を取得すると必ず国土交通大臣免許、か、都道府県知事免許、のどちらかの免許番号が割り当てられます。
例えで言うと「 国土交通大臣免許(2)123456 」のような感じです。
目安に過ぎないのですが、ここで見てもらいたいのは、2つあります。
これで分かるのは、会社が大きいか小さいか、です。
国土交通大臣免許の場合、他県にも店舗がある事を意味します。
これにより手広く不動産業に携わっている業者か、地域に根付いた業者なのか、検討がつきますが、どちらが悪いといったことは特にありません。
パッと見ただけで会社規模が知れる、目安となる、と言う感じです。
これで分かるのは、不動産業者の存続年数です。
免許取得後は必ず1となり、5年毎に+1となります。例えば免許番号が(5)でしたら、最低でも20年は営業していると言うことです。
これも数字が低いから悪いといったわけではありません。
やはり老舗の店舗の方が信頼と実績があると想定できるので、比較的信用できるのかなと思います。
私たちのような不動産に関わる人間からすると、取引をするとなった時点で、無意識に目がいってしまう部分でもあります。
免許の書き換えなどをすると実績があっても(1)に戻ってしまうので、鵜呑みにするのもあまり良くありません。
繰り返しとなりますが目安です。
業界用語(略語)30選
脱線しますがマイソク以外にも、業界用語というか略語は他にも多数あります。
- マイソク ➡毎速 ➡図面、物件資料
- ジュウセツ ➡重説 ➡重要事項説明
- タッケンシ ➡宅建士 ➡宅地建物取引士
- キャクヅケ ➡客付 ➡借主側(買主)の不動産業者
- モトヅケ ➡元付 ➡貸主側(売主)の不動産業者
- サキモノ ➡先物 ➡貸主(売主)と媒介契約を締結していない物件
- チンケイ ➡賃契 ➡賃貸借契約書
- バイケイ ➡売契 ➡売買契約書
- ドラフト ➡雛形 ➡見本、書式、契約書の事前チェック等に用いられる
- ゲンチョウ ➡現調 ➡現地調査
- ブッチョウ ➡物調 ➡物件調査、物件調達
- ヤクチョウ ➡役調 ➡役所調査
- ブッカク ➡物確 ➡物件確認、現地確認や条件確認
- アテブツ ➡当物 ➡決めたい物件へ誘導(比較)する為に当てがう物件
- キメブツ ➡決物 ➡担当者が決めたい物件、決まる要素の高い物件
- タケツ ➡他決 ➡他社の物件で決定
- ヘヤドメ ➡部屋止 ➡部屋の確保、仮押さえ、仮予約等
- シキレイ ➡敷礼 ➡敷金、礼金
- チュウテ ➡仲手 ➡仲介手数料
- ワカレ ➡分かれ ➡仲介手数料半分ずつ分ける
- リョウテ ➡両手 ➡仲介手数料を借主・貸主からからもらう
- カタテ ➡片手 ➡仲介手数料を借主・貸主の一方からもらう
- ノッケ ➡乗っけ ➡礼金を上乗せし、バックをもらう
- コトゼイ ➡固都税 ➡固定資産税・都市計画税
- フリーレント ➡FR ➡賃料無料
- エフイチ ➡F1 ➡フリーレント1ヶ月
- エーディー ➡AD ➡Advertising fee 広告料
- ソクニュウ ➡即入 ➡即入居可
- シキビ ➡始期日 ➡契約開始日
- チンパツ ➡賃発 ➡賃料発生日、FR等で始期日と異なる場合がある
- レンポ ➡連保 ➡連帯保証人
- キンレン ➡緊連 ➡緊急連絡人
- ルーバル ➡ ルーフバルコニー
- ピーエス ➡ PS ➡ パイプスペース、給水管やガス管等があるスペース
- エレナシ ➡ エレ無し ➡ エレベーター無し
- シーエフ ➡ CF ➡ クッションフロア
- ビーティー別 ➡ BT別 ➡ バストイレ別
業界用語って面白いですよね。
まとめ
- マイソクとは賃貸や売買の図面、物件資料
- 語源は会社名
- 契約条件の他、会社情報や手数料区分もチェック
マイソクには意外とたくさんの情報が記載されています。
賃貸借契約、重要事項説明はこの物件資料をもとに、さらに細かい部分を説明されます。
契約時聞いてびっくり、といった事がないよう、よくわからない表記や言葉が無いようにしっかりと確認しましょう。
基本的な各項目は、別の記事で具体的に解説していきたいと思います。
今回は比較的マニアックな部分の解説となりました。
部屋探し、意外と奥が深いので、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
部屋探しはタイミングです。是非頑張ってください。
ではまた。