お部屋探しをしている方、不動産屋から「大家さんに相談してみます」等と言われた事はありませんか?
当たり前のように「大家さん」や「管理会社」と言うワードが出てきて、初めての言葉に混乱している方もいるのではないでしょうか。
賃貸借契約を行う上で、聞きなれない言葉はもちろん、その登場人物やそもそも取引の相手自体がよく分からない、と言う事があるようです。
実は賃貸借契約に関わる言葉や登場人物は意外と複雑です。
なぜなら契約書に登場する関係者は多く、関係者の呼び名も聞き慣れていない言葉が多い為です。
結論
- 大家さん → 物件の所有者
- 管理会社 → 管理をする会社
- 貸主 → 大家さん or 管理会社
- 仲介会社 → 案内と契約をする会社
- 不動産屋 → 管理会社、仲介会社の総称
- あなたの取引相手は「貸主」
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
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常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と実情の把握
- 賃貸知識と知恵の習得
- 取引の疑問と不安解消
- 判断力、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
登場人物の可視化(相関図)
まずは賃貸借契約における登場人物、呼び名を視覚化し整理をしていきましょう。
賃貸借契約における相関図
いかがでしょうか。
大まかに❶~⓫までそれぞれの役割と意味合いがあります。
意外と複雑な事をお判りいただけましたでしょうか。
家主とは?
❶家主とは相関図から物件の所有者である、という事がわかります。
単に物件を所有している人全てを総称して家主と呼びます。
マイホームを所有しているお父さんは家主となります。
そして❷大家さんと❶家主の違いは以下の通りです。
大家さんとは?
大家さんとは自己所有の物件を賃貸に出した時に呼ばれる、物件所有者の呼び名です。
物件を自己使用する場合、家主ではありますが大家さんとは呼びません。
物件を賃貸使用する場合、❶家主であり❷大家さんでもあるのです。
大家さんは全ての関係者の元となっている最重要人物である、と言えます。
大家さんから始まり関係する管理会社や❼仲介業者、❽借主である⓫法人契約、❾入居者へと繋がっていくのです。
大家さんは❸貸主とも呼べますが、貸主ではない場合もあります。
例えば10戸のアパートを所有している大家さんがいるとして、そのアパートを一棟ごと管理会社が借りる、といった場合があります。
この場合、管理会社が貸主となり、こういった会社を❹借上会社と呼んだり、相称して❺管理会社と呼んだりします。
そしてこのような契約形態をマスターリース(Master Lease)と呼びます。
マスターリースは不動産を一括で賃貸借するという意味合いです。
借上会社が介入し、この場合❸貸主が❹借上会社になるのです。
一括借上げについて詳しく見たい方はこちらをどうぞ。
大家さんの役割は、賃貸物件を貸せる状態で提供し続ける事です。
大家さん自身で全てできれば問題ありませんが、賃貸経営の知識が無い場合❺管理会社や清掃会社、❻代理人等の協力が必要となります。
入居募集時はもちろん、入居中や退去後も物件や部屋の整備をし続ける必要があり、その都度専門知識を要するのです。
賃貸借契約の仲介業は資格が必要ですが、❷大家さんになる為の資格は必要ありません。
賃貸物件を所有していれば大家さん、しいて言えば、資産を所有している事が、別の意味での資格と言えます。
宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者。
宅地建物取引業者(一般に不動産会社)が行う、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家である。
Wikipedia
資格が必要な場面は「複数の不動産を反復継続して宅建業を営む場合」とされています。
この場合、宅地建物取引業法に規定されている、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受ける必要があります。
大家さんになるだけでは宅建業を営むとはならないのです。
大家さんの多くは一般人です。
専門で大家業を行っている方がいたり、既に現役を引退された年配の方も多くいらっしゃいますが、通常は他に仕事をしている(していた)方なのです。
管理会社へ依頼せず❻代理人を立てる方もいます。
大家さんとの付き合い方
ご自身で物件の手入れまで行っている❷大家さんは減り、❹管理会社に委託するケースが増加しています。
昔のようにお米や野菜を差し入れするような大家さんは、見かけなくなりました。
昔と現在では大家さんに対する付き合い方が変化しているのです。
大家さんとしては管理会社が介入していても、物件の事は気になります。
特に年配の大家さんは見回りに来てゴミ拾いをしたり、挨拶や世間話をされる傾向が強いように感じます。
このような場合、❾入居者からすると誰だか分からず不審に感じたり、困惑する人もいらっしゃると思います。
そんな大家さんとの付き合い方について見て行きましょう。
昨今❷大家さんへの挨拶は不要です。
ほとんどの方が挨拶には行きません。
当然、個人的には挨拶に行く事が望ましいと感じますが、大家さんから挨拶するよう指示を受けた事はありません。
中には挨拶に厳しい大家さんもいるかもしれませんが。
そもそも❹借上会社との契約が増加し、大家さんと直接契約する事が減少した為、そもそも大家さんが誰でどこに住んでいるか確信が持てないのです。
逆に言うと接点があり、内覧や契約でお世話になったのであれば必要かもしれません。
❷大家さんが❸貸主の場合、お互いの情報は賃貸借契約書等上で開示されます。
❹借上会社との契約の場合、❽借主❾入居者は一連の取引において、一切大家さんに会うこともなく入居します。
そして入居者情報は大家さんにも渡りません。
理由は❸貸主が❹借上会社だからです。
借上契約の内容にもよりますが、この場合の❷大家さんは、❽借主や❾入居者❿同居人の情報すら一切分からず、知る権利もないのです。
❷大家さんは基本的に鍵を持っています。
ただし❹借上会社や❺管理会社が介入している場合は、契約内容によりますが鍵を預けています。
鍵を預けている場合は大家さんは1本も鍵を所有していない事になります。
鍵を無くしたと言って大家さんの家に押しかける行為は控え、まずは管理会社への確認が望ましいと言えるでしょう。
鍵交換に関する記事はこちらです。
大家さんと直接契約できる?
ここで番外編ですが、実は大家さん(❸貸主)と直接契約すると、仲介手数料が無料になる事をご存知でしょうか。
契約できるかどうかは、大家さんが管理会社や仲介業者に入居募集を依頼せず、ご自身で募集していて、直接取引できれば可能です。
また❹借上会社と直接契約する事も、仲介手数料が発生しない契約となります。
契約できれば、の話ですが、貸主との直接契約は、10万円の賃料であれば、仲介手数料10万円+消費税がそもそも発生しないのです。
詳細はこちら↓の記事で解説しているので、知らなかった方は要チェックです。
まとめ
- ❷大家さん → 物件の所有者で❶家主と呼ぶ場合もある
- ❹借上会社 → ❷大家さんから物件を一括で借りる会社
- ❺管理会社 → 物件の維持管理、家賃管理をする会社、❹借上会社も含まれる
- ❸貸主 → ❷大家さん or ❹借上会社
- ❼仲介会社 → 物件の案内と❸貸主と❽借主の取引を媒介する会社
- 不動産会社 → ❹借上会社、❺管理会社、❼仲介会社の総称
基本的にあなたの取引相手は、❸貸主(大家さんか借上会社)です。
その取引の間に❼仲介業者が入る、といったケースが一般的です。
仲介業者は❸貸主と❽借主の取引を媒介する役割を果たし、その報酬として仲介手数料を受け取るのです。
契約の時は頭の中を整理してから、契約するようにしましょう。
今回は少し複雑でしたが、とにかく混乱したら相関図を参考になさってください。
相関図作成の過程で複雑すぎた箇所は削除しています。
記載のない事項がある事と、できるだけ主要なポイントをまとめた結果となりますので、ご容赦ください。
ではまた。
相関図は、わかりません。
相関図の字は小さ過ぎであり、拡大するとどんな相関なのかわかりません。つまり、(相関図をあなたにはわかるのだとしても)相関図をこちらにはわからないのですし、相関図はわかるように貼ってもらいたいです。
貴重なご意見ありがとうございます。
取り急ぎ文字を大きくしてみました。
その他ブラッシュアップが出来次第アップロードいたします。
色を変更し拡大、縮小等試みましたが、
逆に分かりにくくなってしまった為、
各所に相関図を配置しました。