今回は部屋探しをしている方に向け、連帯保証人とは何か、解説いたします。
結論、債務者の債務を肩代わりする人、連帯保証人無しの保証会社が主流となりつつあります。
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
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常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
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保証人と連帯保証人の違いは?
保証人とは、債務者の代わりに、債務を肩代わりする人、となります。
分かりやすい例で言うと、契約者が家賃を滞納したら保証人が払わなければいけない、という事です。
では連帯保証人とは何かというと、違いは2つ。保証人には認められているが、連帯保証人は認められていない事がある、という事です。
大きな違いは、保証人は逃げ道が多少ある、という事です。
そして連帯保証人は2つの逃げ道が認められていない為、逃げ道がなく契約者と同等の責任を負うと言う事ができます。
「友人鈴木君」が滞納中、「あなた」が保証人、「大家さん」が債権者、という例で解説いたします。
保証人は債権者に対し、債務者に資産がある事を証明すれば、債務の履行を拒否できる権利がある。
あなたは「鈴木君はお金持ってるよ」と大家さんに証明する事ができれば、大家さんからの請求を拒否する権利があります。
保証人は債権者対し、債務者へ先に催告すべきと請求できる権利がある。
あなたは大家さんに対し「鈴木君には請求したの?まずは鈴木君に請求してよ」と言う権利があります。
連帯保証人は必須
連帯保証人は賃貸借契約(入居審査)する上では必須である、と言えます。
理由は契約者との連絡が途絶えた場合に下記のような重要な役割を果たすからです。
- 連絡が取れない場合、連絡を受けてもらう。
- 滞納がある場合、支払いをしてもらう。
- 夜逃げの場合、引き渡しをしてもらう。
- 安否確認が必要な場合、確認(立会)をしてもらう。
- 問題が発生した場合、注意をしてもらう。
上記の内容から分かるように、契約者に何かあった場合、代わりにいろいろやってもらう、という事です。
そしてこのような事をやってもらう以上、身内である必要があり、ほとんどの不動産業者で三親等以内、という条件が主流となっています。
- 一親等・・・父母、子
- 二親等・・・兄弟姉妹、祖父母
- 三親等・・・甥姪、叔父叔母
入居審査のタイミングで、連帯保証人の続柄や収入等、保証能力も審査します。
連帯保証人に必要なものは、実印と印鑑証明書です。
なぜこれらが必要であるかというと、無許可で勝手に保証人にされない為、です。
これらが不要な場合、勝手に人の名前を書けば、知らないうちに誰でも連帯保証人になれてしまいます。
そこで実印と印鑑証明書を用意し、直筆の署名をしていただくのです。
実印と印鑑証明書は基本的に滅多に使うものではなく、他人から求められた場合は論外。
親族であってもためらう人はいるでしょう。
それだけ重みのある書類と作業が必要となるのです。
連帯保証人が不要の場合もある
最近は、保証会社を利用した連帯保証人無し、の契約が増加しています。
理由は連帯保証人手続の手間が一番の要因だと考えられます。
前述したように、連帯保証人は実印、印鑑証明書、直筆で契約書に署名する必要があります。
これがとにかく手間なのです。
例えば実家が沖縄で北海道在住の場合、契約をするだけの為に飛行機でひとっ飛び、というわけには行きませんよね。
基本的には郵送する必要があります。
この場合の手間としては、最低限書類の送付と返送、契約をする背景や事情の説明、記入箇所や捺印箇所の説明、印鑑証明の依頼等、最低限生じてしまいます。
そして実印や署名を依頼し、役所に印鑑証明書を取りに行ってもらう、という、本人にとっても、連帯保証人にとっても手間のかかる作業をする必要があるのです。
そもそも誰にも迷惑をかけたくない、保証人なんていない、立てたくない、等という、この制度自体を嫌う方も増えている状況です。
そこで誕生したのが連帯保証人無し、の制度。連帯保証人の債務は「保証会社が受け持つよ」という事です。
保証会社とは?
保証会社がやってくれる事は、金銭面の保証です。
賃料や修理費用などが滞った場合、保証会社が一時的に立て替えて貸主に払ってくれるのです。
保証会社は会社や物件にもよりますが、通常は本人の印鑑や住民票などがあれば、契約できてしまいます。
連帯保証人とは大きく異なり、はるかに手間がかかりません。
最大の欠点としては費用がかかる事。
おおよそ賃料の半分、10万円の賃料であれば、保証料は5万円といったところです。
保証人を免除してもらう為の費用、安心して契約して(信用して)もらう為の費用、といったところでしょうか。
保証会社は連帯保証人と比較すると、できる事は少ないです。基本的には金銭面の保証のみ、となります。
個人的には貸主にとっても借主にとっても、お互いにメリットはあるように感じますが、2点だけ気になる事があります。
- 保証会社、強制加入という物件がある事
- 保証料が全額借主負担である事
①に関しては連帯保証人の制度自体を廃止している場合、費用のかからない連帯保証人を選択する事ができません。
保証料が発生する以上、連帯保証人選択の余地は残すべきだと感じます。
②に関しては、別の記事でも書きましたが、保証料は借主が負担すべき費用なのでしょうか?貸主サイドにも負担する必要性があると感じます。
保証会社の加入はそもそも借主にメリットはありません。
保証人手続きの手間を削減できるという、手間の削減だけがメリットなだけで「加入義務無し」という方がよっぽど魅力的です。
保証会社の借主負担は、交通事故で相手側の保険にのみに頼るのと同じような感じがします。
事故歴のある方に請求する、という事は理解できますが、事故歴のない方に関しては貸主負担、もしくは折半が妥当ではないのかなと感じます。
ただ、全く知らない人を物件に住まわせる、という事に対しての、信用料という側面がある事も頷ます。
当然事故を起こすつもりはない。
借主自身の信用度を高める為、または社会情勢や不慮の事故(滞納)に備え、迷惑をかけない為、保証会社と契約をする必要がある。
自身の身は自身で守る、という意味で、貸主自らが不慮の事故に備え保証会社と契約をする必要がある。
と、いう事が理屈上は合理的、費用負担に関しては折半が妥当ではないのかなと感じます。
ちなみにこの内容はくれぐれも交渉等に使わないようご注意ください。
借主負担が常識となっている以上、ドンビキされる可能性が高いです。
まとめ
連帯保証人とは、債務者の債務を肩代わりする人。
最近では、連帯保証人無しの保証会社が主流となりつつある、という事をお分かりいただけましたでしょうか。
連帯保証人はよく聞くと思うのですが、とても怖い制度です。
決して他人の連帯保証人になる事はやめましょう。
保証人になってしまったせいで苦しんでいる人も、昔は身近にもいたのではないでしょうか?
親子間であっても金銭をめぐり、トラブルとなっている方もいらっしゃいます。
時代は代わり、保証人の制度そのものが古く、好まれない傾向になりました。
保証人は廃止され保証料がかかる事が多くなりました。
すると今度は保証料を節約する為、逆に連帯保証人を立てたいという方も出てきます。
残念ながら保証人の制度を廃止してしまっている貸主、不動産業者では、受け入れてくれないでしょう。
そうなるとやはり保証料は少し厄介ですよね。
払いたく無いですよね。
貸主に払ってほしいですよね。
ひょっとしたら保証料を負担してくれている大家さん等もいるかもしれません。
繰り返しとなりますが、私の理想は、保証料は貸主負担。
負担が難しいのであれば、最低でも連帯保証人選択の余地を残しておいてほしいものです。
いつの日か借主の負担が、もう少し軽減される時代が来る事を願っています。
ではまた。