賃貸の契約をする時に、加入を求められる火災保険。疑問に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
正しい知識を身につけ契約をするようにしましょう。
火災保険に対する疑問
- 火災保険、入らなくて良い?
- 火災保険、入らない方法はない?
- 火災保険、自分で加入できる?
- 火災保険、安くならない?
- 火災保険、知り合いに詳しい人がいるんだけど。
- 火災保険、会社や学校の指定があるんだけど。
このように火災保険のお問合せは様々です。
見解
あなたの悩みや疑問から考えられる本当の目的は
「火災保険に加入したくない、保険料を安くしたい」という事ではないでしょうか。
実は火災保険料は安くする事ができます。
理由は、火災保険は加入義務があっても、保険会社や加入プランは個々で指定する事ができる為です。
結論
- 一般的に火災保険の加入義務がある
- 不動産会社指定の保険はマージンが発生する為割高
- 保険会社やプランは自分で選ぶ権利がある
- 保険料の相場は1年で5,000円~15,000円
- 自分で探す方が安いが手間がかかる
- 楽したい方は不動産屋指定の最安プランに加入
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と、実情の把握
- 賃貸知識と、知恵の習得
- 取引の疑問と、不安解消
- 判断力と、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
目的は火事に対する備え
火災保険は賃貸住宅へ住む方に向け、大切な家財や賠償責任を補償します。
賃貸の場合は、家財よりも部屋の修復(賠償責任)をメインの目的としています。
火事を発生させたら、いくらかかると思いますか?あまり想像ができないのではないでしょうか。
火災による室内の復旧は原状回復(借りた状態に戻す)義務があり、損害賠償請求と言って、復旧費用の負担を迫られます。
原状回復ってなに?ガイドラインや負担割合、敷金は返ってくる?について解説。そんな時、火災保険は入居者を守る役割があるのです。
賃貸の火災保険は少額短期保険が主流で、特徴は文字通り「金額が少額」で「期間が短い」保険で、賃貸借契約には適している保険と言えるでしょう。
加入義務はある場合とない場合があります。
物件やオーナー、管理会社により異なりますが、加入義務有という条件が大多数を占めている、と言えるでしょう。
加入義務有、という契約条件自体は法的に問題はありません。
補償内容は大きく4つ
主な項目↓
- 火災、落雷、破裂、爆発
- 風災、ひょう災、雪災
- 水災
- 水濡れ
- 盗難
具体例はこちら↓
- 火災を起こしてしまった、もらい火で家財が全焼した。
- 自宅近くに雷が落ち、パソコンが故障した。
- 泥棒に入られ、現金や貴金属が盗まれた。
- 竜巻による飛来物で玄関ドアが破損した。
- 泥棒に入られ、窓ガラスを割られた。
- 熱割れにより、ガラスにヒビが入った。
- 凍結により、給水管が破裂した。
- 排水管を詰まらせ、水浸しになった。
- 火災を起こしてしまい、借用戸室に損害を与えた。
- ガス爆発を起こし、部屋を損壊させた。
- 物を落とし、洗面台を割ってしまった。
- 水があふれて、下の階の壁や家財に損害を与えた。
- 買い物中に、店の商品を破損した。
- 自転車で、歩行者にぶつかりケガを負わせた。
- ベランダから物を落とし、他人の車に傷をつけた。
保険料の目安は1年で10,000円
保険料は基本的に家財への掛金で決まります。
保険料(1年) | 8,000 円 | 10,000円 | 12,000円 | 14,000円 |
---|---|---|---|---|
人数(目安) | 1〜2人 | 2〜3人 | 3〜5人 | 5人〜 |
家財補償 | 300万 | 500万 | 700万 | 900万 |
個人賠償・借家人賠償 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 | 1,000万 |
修理費用 | 100万 | 100万 | 100万 | 100万 |
このように家財の補償以外は基本的には変わりません。
目安としては1年で10,000円、と覚えておきましょう。
ご自身の家財の金額に合った保険を選択しましょう。
火災発生時の支払い事例(500万)
実際に自室から出火し、自身の家財、自室の壁床に損害が生じた場合の、具体的なお支払い例は以下の通りとなります。
- 損害保険金 300万円
- 臨時費用保険金 90万円
- 残存物取片づけ費用保険金 10万円
- 借家人賠償責任保険金 100万円
- 失火見舞費用保険金 40万円
火災発生時の一例となりますが、当然これ以上もこれ以下もあり得ます。
不動産屋の保険は割高
通常火災保険は仲介業者から提示され、そのまま契約をする方がほとんどです。
実はこの火災保険、割高の可能性があります。
理由は不動産業者のマージンが発生する為、そもそも割高で自身の家財に見合わない高額な保険を勧められている可能性があるからです。
賃貸の保険会社は選べる(強制は違法)
仲介業者から紹介される場合がほとんどですが、保険会社は原則選べます。
プラン変更の交渉もできると言えます。
保険加入の強制は法的にも問題ありませんが、保険会社やプランの強制は法律(独占禁止法)に抵触します。
ご自身で調べしっかり理解した上で、保険の契約をする事が望ましいと言えます。
個人加入のメリット、デメリット
ここからはご仲介業者指定の保険を「指定加入」自身で探して加入する事を「個人加入」と表現したいと思います。
- 準備が整っていて手続きが簡単
- 契約と同時進行で説明を受けられる
- 自身で調査し加入する必要がない
- 事故発生時の対応がスムーズ
- 割高(目安10,000円 / 1年)
- オーバースペックの可能性がある
- 割安(目安5,000円 / 1年)
- 自身にあった保険を選択できる
- 調査し探す手間がかかる
- 選択の判断が必要
- 手続きの手間がかかる
- 事故発生時に自身で対応する
- 保険が使える事に気づかない事がある
要するに手間をとるか、コストをとるか、と言ったところです。
交渉の具体例
上記を踏まえ個人加入をしたい方は、言いにくいかもしれませんが、個人加入をしたいという意思表示をしましょう。
タイミングは、部屋を申込む前、もしくは保険の説明を受けた時点が望ましいと言えます。
具体例↓
- 保険は自身で探したいのですが可能ですか?
- 保険は知り合いに詳しい者がいるので、別の保険でもよろしいでしょうか?
- 保険は会社(学校)指定の保険でお願いできませんか?
- 保険の加入は強制でしょうか?
- もう少し安い保険はありませんか?
担当によっては無理です、とかこの保険以外は契約できません、のような事を言ってくる人もいるかもしれません。
極力言いたくないワードですが、場合によっては法律に基づいていますか?と質問してみましょう。
観念してくれるかもしれません。
ちなみにこの交渉は賃料や礼金のように「大幅な削減になる」とは言えません。
交渉後は入居審査も控えています。
この事がきっかけで担当者と険悪な関係になってしまったり、入居を拒絶されたり、申込を白紙撤回とされないよう注意しましょう。
入居審査ってなに?日数や期間、年収や借金、落ちる理由等を解説。くれぐれも交渉は慎重に、穏便に進める事を意識するようにしましょう。
交渉がうまくいかなかった場合、契約後すぐ解約してしまえば良いのでは?と考える方もいらっしゃいます。
契約してすぐに解約しても、管理会社や大家にはバレにくいと言えるでしょう。
最近は保険会社から管理会社へ通知が入る場合もあり、その場合はバレます。
事故発生時は当然発覚しますし、保険金も出ません。
有事の際は場合によっては数百万といった請求がかかる可能性があります。
ご自身を追い詰める事にもなり得る為、加入義務がある場合はきちんと手続きをしましょう。
オススメは共済の個人加入
個人加入の場合、5,000円以内で収まる事もあります。
特に共済の保険は安いという印象があります。
その他にもインターネットで検索すると、様々な保険会社が取り扱いをしています。
また、個人的には家財補償はどんな世帯においても、300万程度で十分ではないかと考えています。
保険はややこしい、調べたくない、かつ、最低限の補償で良いという方は、
仲介業者指定の最安プランで加入しましょう。
まとめ
- 一般的に火災保険の加入義務がある
- 不動産会社指定の保険はマージンが発生する為割高
- 保険会社やプランは自分で選ぶ権利がある
- 保険料の相場は1年で5,000円~15,000円
- 自分で探す方が安いが手間がかかる
- 楽したい方は不動産屋指定の最安プランに加入
火災保険は不動産屋の指定保険にそのまま加入する方がほとんどです。
個人加入が認められている事をそもそも知っている人が少ないからです。
不動産業者からどこの保険会社でもいいですよ、とわざわざ言う事はありません。
まともな担当者であれば(聞かれれば)どこでも大丈夫ですよと快く言ってくれるはずです。
私であれば共済か、難しければ最安のプランで交渉します。
賃貸借契約は複雑です。
敷金や礼金や仲介手数料、前家賃、鍵交換や消毒代等とあわせて一気に説明されるため、流れ作業で保険の契約も進んでしまいます。
保険に限らずお部屋を契約する際は、良く理解した上で契約する事を心がけましょう。