賃貸借契約の更新通知を受け取った方、退去を考えるきっかけになっていませんか?
退去するのは面倒だし、引越し代もかかる、更新した方が楽だけど、更新料が勿体無い、どうしようと悩んでいませんか?
この記事はこんな方にお勧めです。
悩み、疑問
- できれば更新したいけど、更新料って支払う必要があるの?安くならないの?
- 他の部屋の家賃が安くなっているのを見たけど、うちは安くならないの?
- 何年も住み続け建物の劣化も進んでいるのに、家賃は下がらないの?
- 更新で家賃が上がったけど、普通の事?
この記事の見解
この記事を読んでいる方の真の目的、願いは「更新はしたい、出費は抑えたい」という事ではないでしょうか。
実は更新時は、交渉がしやすいタイミングであると言えます。
理由は、契約更新はお互いが契約内容の再確認をする作業だからです。
そして気になる交渉の可否は「物件、タイミングによる」と言えます。
私の経験上、交渉が決裂しても大半の方が住み続けます。
ダメ元で交渉に臨みましょう。
結論
- 更新時は交渉すべし
- 交渉は単刀直入に金額提示
- 家賃交渉が失敗したら、更新料の交渉
- 金額目安は、家賃3%、更新料50%以内
- 成功確率は、10%
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と、実情の把握
- 賃貸知識と、知恵の習得
- 取引の疑問と、不安解消
- 判断力と、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
更新手続きの流れを把握する
居住用の賃貸借契約は一般的に2年に1回の更新手続きが必要となります。
更新する為には更新料が発生し、目安となる金額は賃料の1ヶ月分です。
物件や管理会社、地域によっても異なり、更新料自体がない地域もあります。
更新時期になると管理会社等から通知が届き、書類手続きや更新料の支払いを行うと、さらに2年間部屋を使う事ができます。
- 契約期間 2年
- 更新料 賃料の1ヶ月分
- 更新通知 1~3か月前
- 手続方法 書面、WEB等
更新が自動更新の場合、契約満了日を迎えると自動的に更新されます。
更新料は支払う必要があります。
過去に裁判となるケースもありましたが、2年に1度、1ヶ月分程度の料金は合理性があるとされています。
2年更新の賃貸借で、更新料の額が賃料の額の1か月分程度の特約であれば、その特約が不合理なものとは到底考えられず、当事者間にそれを合意更新の場合にのみ支払うというような特別な事情や取り決めでもない限り、法定更新の場合にも有効な特約として、借主に対し、その支払いの請求をすることができると解される。
公益財団法人不動産流通推進センター
更新料とは契約を延長する為だけの費用で、特に何にも使われません。
見解としては、賃料の補充、前払、契約を継続するための対価、とされています。
要するに、家賃の1部です。
更新料自体に納得がいかない方、詳しく知りたい方、こちらの記事で意味合いを理解しましょう。
更新料とは?その意味や相場、消費税などについて解説。家賃交渉の進め方
前提として、家賃交渉が成功する確率は低いです。
金額や大家さんにもよりますが、成功事例としては全体の2割にも満たない印象です。
今回、成功確率は10%と提示しますが、物件の状態や相手、交渉の仕方によっては成功確率は上がります。
何も言わなければ、家賃が自動で下がる事はありません。
家賃交渉のタイミングは更新通知が届いた時です。
通知が届いたら家賃交渉をしましょう。
更新以外の通常月に交渉をしても、基本的には断られるでしょう。
理由は契約が既に成立し稼動しているからです。
貸主、借主お互いが今の賃料で納得し契約をし、2年間はこのルールで貸し借りしようねと、約束している状況なのです。
特別な事情が無い限り、基本的にこの2年間は契約内容を変更する事はありません。
家賃は契約期間中も常に変動しています。
更新書類には新賃料の記載がある為、新賃料は必ず確認しましょう。
基本的に築年数とともに賃料は下落します。
周辺相場が上がったり、そもそも安く入居している場合等、更新時にしれっと値上げをされている事もあります。
逆に周辺家賃が下がったとしても、更新時に自動的に下げてくれる事はありません。
周辺家賃が下落している場合、更新を通知する側としては指摘されると回答に困ります。
賃料交渉の方法、コツは?
失礼とならない態度で丁寧かつ単刀直入に交渉しましょう。
具体的には
「契約の更新をしたいのですが、賃料を3,000円さげていただく事はできませんか?」
これだけです。
周辺相場が下落(上昇)している事を知らなくても、全て知っている感じで言ってみましょう。
退去する雰囲気は出しても構いません。
余計な理由を述べない場合、貸主は他の部屋の家賃が安い事を知っているのではないか、退去してしまうのでは、長く住んでいるから仕方ない、等と何故交渉してきたかを勝手に汲み取り推測してくれます。
この時下落相場等と嚙み合うと、余計な理由をつけなくても家賃を下げてくれる事があるのです。
理由を聞かれたら、そこで初めて理由を述べましょう。
注意してほしい事は、長々と理由をつけて一方的に交渉する事です。
交渉される側は、そもそも交渉を嫌います。
書類や支払いの遅延がなく、無言で更新してくれる方を好みます。
交渉が入った時点で面倒だなあという心理が働き、あれこれ理由をつけられると更に嫌気がさします。
担当者も理由や事情はある程度分かっていて、聞き飽きています。
分かっていながら話を聞いてあげているのです。
根拠を示す場合、自分なりの分析や市場調査も必要となり手間も時間もかかります。
どんなに精度が高く、自分に有利な情報や分析結果があっても「無理」と言われればそれで終わりです。
住みたい以上、お金を払って更新するしかありません。
その上、理屈っぽいとか、的外れとか、何も分かっていないとか、感じが悪いとか、余計な印象を与えかねません。
通知する側(貸主)も割高、割安という事は当然分かっているのです。
理由は聞かれてから。
端的に述べましょう。
- 隣の部屋(周辺)の家賃が下落していた
- 貯金したい
- 出費がかさんでいる
- 建物が劣化してきている
- 使えない設備がある、設備が古い
- 騒音や管理上の問題がある
- 引っ越ししようか迷っている
金額は提示した方が良いです。
「いくらでも良いので下げてほしい」はNGです。
いくらでもいいからお金を貸してほしい、と聞かれたらどう感じますか?
成功するかもしれませんが、金額を提示した場合と比較し軽い印象を与え、断られる確率が上がります。
金額提示をされると、根拠がありそう、事情がありそう、計算していそう、といった印象や重みを与える効果があると感じます。
また、具体的な金額の提示は、貸主との交渉がしやすく、回答も明確です。
個人的には提示金額は家賃の3%以内(MAX5%)が良いかなと感じます。
10万円の賃料で2~3,000円です。
金額は上げるほど交渉成立の可能性が低くなります。
私の経験上、更新時の交渉は3%以内が無難だと感じていますが、各自判断が必要となります。
成功確率重視で「1,000円だけでも下がりませんか?」も効果的な場合があります。
大家さんが言われたくない事3選
大家さんが一番言われたくない事は、退去したいと言われる事です。
退去されると、修理費用、募集費用、空室損失等、何かとお金がかかります。
大家さんとは?大家の資格は?管理会社、仲介会社との関係を解説。大家さんが次に言われたくない事は、周辺の家賃が下がっている、という事です。
例えば隣の部屋が1万円安く募集が出ていたら、高く入居している方は疑問を抱きます。
そして当然大家さんは回答に苦しみます。
長く住んでいると設備は劣化します。
大家さんとしては使えている以上、設備をあえて新品にする事はしません。
耐用年数を超えている設備も少なからずあるでしょう。
見た目や性能などの指摘はされたくないと言えるでしょう。
交渉時は大家さんが言われたくない事を、効果的に提示しましょう。
更新料交渉の進め方
家賃交渉を断られてしまったら、更新料の交渉をしてみましょう。
更新料の交渉は家賃交渉と基本的には同じです。
家賃と更新料の同時交渉は、共倒れの確率が高まりお勧めできません。
言い方はこちらもストレートに「更新料をお値引きしていただけませんか?」で問題ありません。
心理的に2回目は断りにくくなるものです。
更新料は50%(半額)以内が良いと感じます。
10万円の物件なら、更新料5万円です。
貸主は基本的に家賃の値下げを嫌いますが、単発の割引は比較的柔軟な場合がある為です。
家賃はダメだけど更新料ならOK、というケースが少なからずあるのです。
2年契約の24か月に換算すると「家賃2,000円引き」レベルの効果を得られます。
相手から更新料なら引けますとか、次回の更新時ならとか、何かしら提示してくれる場合もあります。
交渉をしなければ何も起こりません。
注意事項
インターネットの情報や知人からは、家賃交渉がうまくいった、とか、簡単に下がるよ、とか、交渉しなきゃ絶対損、等と聞いた事があると思います。
成功事例は拡散されやすいのですが、失敗事例は拡散されにくいのです。
物件によっては一切家賃交渉は不可、家賃交渉には応じる事ができない仕組みになっている場合があります。
この場合どんなに時間をかけようが一切応じてくれません。
このような貸主や不動産業者は一定数存在するのでご注意ください。
特に1~3月の更新は成功確率が低下します。
理由は、部屋探しをしている方が大量にいる時期だからです。
人気物件ではむしろ退去を歓迎され、促されてしまうかもしれません。
当然地域差もあり一概に言えませんが、交渉はできないと思っていた方が、断られた時の感情を考えると、気持ちよく取引ができるのかなと感じます。
断られた時のストレスを理解した上で試みる、という事をお勧めします。
更新時に交渉をする人は少ないです。
更新手続きについての質問は手続き方法など一定の頻度であるのですが、交渉をする方は滅多にいません。
50人中1人くらいの感覚でしょうか。
問い合わせのついでに一言あれば、下がりそうな物件があるのも事実です。
逆に更新ごとにあれこれ理由をつけて、募集が出る度に全部屋の家賃を記録し値下げをしようと頑張っている方もいらっしゃいます。
このような方は担当者も逆に身構えて接する事となり、交渉の難易度はあがってしまうかもしれません。
節度ある交渉を心がけると良いかもしれませんね。
交渉をあきらめ引っ越しをする
交渉をあきらめ引っ越しをする方、部屋探しはネット検索が基本です。
タイミングによっては、未公開物件のような情報もありますが、滅多にない未公開物件があなたの条件に合うとも限りません。
ネット情報が主流となった現代において、不動産情報は検索すれば大概ヒットするのです。
よって私が推奨する不動産屋はありません。
良い取引は担当者で変動します。
インターネットは情報が多すぎます。
選択肢過多は、心理的負担を伴いストレスを感じやすくなります。
SUUMOを眺め続け、何年も経過してしまう方も数多く存在するのです。
見学はしたいけど、物件が多すぎて断念している方。
検索する気も無くなった、という方もいるでしょう。
ポイントは物件の検索と選定のストレスを軽減することです。
検索と選定は省略できます。
下記のようなサービスを活用し、検索と選定のストレスを軽減させましょう。
提示された物件で吟味し、効率化よく探しましょう。
まとめ
- 更新時は交渉すべし
- 交渉は単刀直入に金額提示
- 家賃交渉が失敗したら、更新料の交渉
- 金額目安は、家賃3%、更新料50%以内
- 成功確率は、10%
更新は契約の見直し、確認です。
何も言わなければ、家賃は下がりません。
過度に期待せず一言相談をいれ、少しだけでもお願いしてみましょう。
契約時も家賃交渉↓更新時も家賃交渉です。
更新を機に引っ越しをされる方、入居時の付帯商品も必ず交渉しましょう。
賃貸物件、交渉のコツは?家賃交渉、初期費用や月額費用、条件、タイミング等の交渉術を伝授。 賃貸物件、交渉のコツは?その2。付帯商品、付帯サービスは払わなくて良い?を解説。