賃貸の契約金、申込や審査直後にお金を払ってほしいと言われて疑問を感じていませんか?
部屋は気に入っているのに、入金を迫られて不快な思いや不審感を抱いていませんか?
今回は賃貸の契約金に焦点をあて、入金のタイミングやキャンセル時の返金等について解説します。
あなたの悩み、疑問
- 申込をするのに、申込金が必要と言われた
- 入金をしないと、申込を受けられないと言われた
- 審査中に、お金を払うよう言われた
- 重要事項説明の前に、お金を払うよう言われた
- 契約書をもらっていないのに、お金だけ払うよう言われた
- 部屋は気に入ったのに、納得がいかない
- 入金後キャンセルをしたら、返金できないと言われた
この記事の見解
結論から言うと、どうしてもその部屋に住みたい場合は、お金を払うしかありません。
詳細は後述しますが、簡単に言うと契約は当事者の合意によって成立するためです。
当事者とは貸主(貸す人)と借主(借りる人)。
貸主の提示する条件に借主が合意すれば契約は成立します。

貸主が「貸さない」と言ったら契約は成立しないということです。
重要事項説明前の契約金支払いは宅建業法という法律に違反します。
しかし、不動産屋や管理会社のルール上、お金を払わないと部屋の確保ができない場合があることが数多くあります。
一番の理由はキャンセルの抑制です。
実は入金に関する悩みを抱えている方は多く、賃貸の取引において不信感を生じさせるポイントの一つです。
理由は様々ですが、一番の要因は説明不足です。
賃貸借契約は約束事が多岐にわたる為、伝達漏れや行き違いなどが生じます。
担当者の業務量、能力、性格、相性等、自分勝手な言動に不信感を抱いてしまう場合もあります。
商品の説明が不十分、よく分からない状況で、物を買うことは少ないと思います。
きちんと商品の説明を受け、契約内容を理解し、納得してからお金を払いましょう。
結論
- 部屋の確保を優先する(部屋を失いたくない)ならお金を払う
- 部屋の確認を優先する(失敗したくない)ならお金を払わない
- 言い換えると①部屋が無くなってしまうリスク、②部屋を見れないリスク、の選択
自己紹介
mai
賃貸一筋25年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
当サイトはコンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見ご質問等お気軽にコメントください。
この記事で得られる賃貸情報
- 動向と実情の把握
- 知識と知恵の習得
- 疑問と不安の解消
- 判断、対応力向上
専門用語(業界用語)の意味
まずは各用語の意味を整理しましょう。
まず、契約金は必ず支払う必要があります。
手付金、申込金(内金)、預り金は法的に支払い義務はありません。
契約金以外を払っても審査が通過するとは限らず、必ず契約できるわけではありません。
契約金以外は申込や契約のハードルを上げ、本当に契約する意思があるか確認やキャンセル抑制の目的で利用されています。

手付金は賃貸で認められておらず、売買の取引において授受される金銭です。
重要事項説明は略して「重説」とも呼びます。
仲介業者は仲介手数料以外の金銭は報酬として受領できません。

火災保険や鍵交換、消火器等の付帯商品は消費者からの依頼があれば受注することができます。
契約金という言葉はこれら全て(全額)の総称として使用されています。
賃貸借契約の流れ
ここで契約の流れをおさらいしましょう。
上記のとおり、契約金の入金は重要事項説明を受けた後、となります。
契約は契約書に署名捺印を行い、入金すると成立します。
家電の購入に例えてみる
賃貸契約を家電購入の例に置き換えてみます。
※申込書はありません。意思表示のみ。
※代金を支払うと自動で契約成立、契約書はありません
このように皆さんは日常的に「契約」を行っています。
コンビニでおにぎりを買うのも契約です。
契約は口約束でも成立します。


賃貸借契約は複雑なので書面にし、トラブルを予防します。
そしてSTEP.6のとおり、契約と入金は同時履行が原則。
「入金=契約成立」が取引の基本といえます。
重要事項説明前の入金は業法違反
一般的には審査通過後は
契約日を決め、
契約日に不動産屋へ行き、
重要事項説明を受け、
そのまま契約(署名捺印)を締結し、
そのまま契約金を払う。
という流れとなります。


契約締結後、入金は後日ということもあります。
コンビニなどと違い賃貸借契約の場合、お金を払う前に入居審査と重要事項説明が立ちはだかります。
入居審査は家賃が払えるかの判断として必要。
重要事項説明は宅地建物取引業法で「契約が成立する前の説明」が義務付けられています。
宅地建物取引業法 第三十五条
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

簡単に言うと「契約前に重要事項説明が必要だよ」ということ。
つまり契約前の入金(=契約)は宅建業法に違反する行為といえます。
家電と違い、レジで契約ができない(しにくい)仕組になっているのです。
審査は数日かかる場合があり、重要事項説明も1時間前後かかります。
後日来店いただく為の日程調整も必要となります。
ホームズによると引っ越しは人生で4回だそうです。
不動産の取引は人生で約4回。
詳しい方以外は、重要事項説明があるということすら知らない人も多いでしょう。
本来のあり方をうやむやにされ、何の説明もないまま(詳細が分からない状態)入金を迫られる。
不安になって当然です。
入金を迫る理由 4選
不動産屋が入金を迫る理由の多くは以下のとおりです。
一番はキャンセルをされたくないということです。
仲介手数料は成功報酬といって、契約が成立したときに初めて受け取れるお金です。
キャンセルになると、内見や見積、申込や審査等、費やした時間が全て無駄になります。
入金があればキャンセルはできない、というわけではありません。
とにかく入金をさせ少しでも契約を前進させて、キャンセルをしにくい状況にしておきたい。
ということです。
不動産屋には売上目標や、営業成績が少なからず存在します。
月末〆の不動産屋が多く、目標の数字に届いていない場合があります。
この場合、とにかく今月中に入金してほしい、という自分勝手な言動が飛び出します。

入居日が近い場合、入金を急ぐ必要があります。
責任をもって引き渡しを履行する為です。
引き渡しの準備は契約と平行して進めますが、鍵交換や虫駆除等、入金があるまで実施できない項目があります。
入居が近い場合、引越しに間に合わせる為に、入金を急かされる場合があります。
大家さんや、不動産屋には独自のルールや慣習として残っているフローがあります。
賃貸業界は貸し手市場といわれた時代があります。
当時部屋を借りたい人は、不動産に言われるがまま契約をするしかありませんでした。
中には「入金が先」が当たり前という不動産屋もあり、このようなフローが慣習として残っている可能性があります。
入金を断るとどうなる?
それでは宅建業法違反を理由に、入金を断る(後にしてほしいと依頼する)とどうなるでしょう。
契約を断られてしまう場合があります。

冒頭申し上げたとおり、前提として契約は当事者の合意がないと成立しません。
貸主(不動産屋)側の主張としては
- 入金が嫌なら契約をしなければ良い
- 細かいことを気にする方には入居してほしくない
- 入居後も何かとクレームを言ってくるのではないか
- 他にも借りたい人はいる
単に折り合いがつかなかっただけ、として契約は見送られます。
矛盾するようですが貸主側が条件を提示している以上、これを受け入れる必要があるのです。
筆者としてはこのような物件はあまりおすすめしません。
しかし、新築や人気物件、不動産屋によってはこのような条件を提示されることが多々あるのです。
内覧できなくても入金は必要
内覧ができない場合でも、部屋を確保するためにお金を払わなければならないことがあります。
不動産屋にもよりますが、例えば人気のある物件では、問い合わせが殺到します。
問い合わせには軽いものも多く、お金がかからないとなれば、契約の可能性が低い人でもドンドン申込が入ります。
1番手、2番手等で管理する場合もありますが、申込内容の確認、審査、繰り上げ、キャンセル等の管理、成約後に断る作業も大変でトラブルとなる場合もあります。
不動産屋としては、貸主の為に可能性の高い人を早めに確定させる必要があります。
お金を払ってでもという人を優先し、可能性の低い人を避けるために、費用の提示をすることになるのです。

人気物件をおとりにして別の物件を強引に勧めてくる不動産屋もあるのでご注意ください。
内覧ができない理由には、次のようなものがあります。
- 今住んでいる人がまだ退去していないため、内覧ができない
- 工事やメンテナンス中で立ち入りができない
- 物件が遠くて現地に行くのが難しい
こうした場合、不動産屋は物件の詳細な写真や動画を提供し、周りの環境や設備についても詳しく説明してくれます。

同じタイプの別部屋が空いていれば見せてくれる場合もあります。
法律的には、内覧をしなくても契約は成立させることができます。
不動産会社は正確で十分な情報を提供する義務があり、疑問がある場合は必ず確認することをお勧めします。
解決策は入金日・重説日の交渉
貸主や不動産屋に言われるがまま契約することは、おすすめできません。
とにかく日程の交渉(相談)をしてみましょう。

相談内容は「入金日の変更」か「重説日の変更」です。
まずは入金日を重要事項説明の後に変更できないか、もう一度相談しましょう。
※内覧ができていない場合、内覧後の入金を依頼してみましょう。
入金日の変更ができない場合は、重要事項説明の日程を入金前に前倒ししてもらいましょう。

契約内容はマイソクには表示しきれません。契約書、重要事項説明書の雛形だけでも見せてもらいましょう。
不動産屋のフローにはあまりありませんが、審査前であっても重要事項説明は受けられます。
内覧後に重要事項説明をする不動産屋もあります。
重要事項説明を前倒しする場合、借りる側としても時間を割きスケジュールを前倒しする必要があります。
そのため、お互いに大変な思いをする可能性があります。

重要事項説明書の作成に時間がかかる場合はあります。
しかし、毎回のように言っていますが、気に入った部屋との出会いは貴重です。
時間を割いてでも交渉する価値があるかもしれません。
また、この相談を受けてくれるかどうかは仲介業者次第です。
断られることもありますが、例外として何とか調整をつけてくれることもあります。
これを調整しまとめ上げるのが仲介業者の役割であり、不動産の取引なのです。

調整事項や説明が不要な取引は、ホテル予約のようにネットで完結できてしまいます。
ちなみに交渉は喧嘩ではありません。
担当者の能力不足もあるかもしれません。
感情的にならず冷静に交渉を進めましょう。
キャンセル時は返金されない場合がある
契約金の返金はされない場合があります。
貸主や不動産屋の意向、契約内容、用途、キャンセルのタイミングにより異なります。
目安の考え方は下記のとおりです。
- 契約成立前は返金される、契約成立後は返金されない
- 契約金は返金されない、預り金は返金される
- 作業前は返金される、作業後は返金されない
返金の取り決めがない不動産屋もあります。
契約解除にあたり、返金の請求はすべきと考えます。
また契約開始日以降はキャンセルではなく、解約となります。
この場合、解約の条文が適用となり返金の概念自体ありません。

解約は通常1か月前の告知義務も発生します。
まとめ
- 部屋の確保を優先するならお金を払う
- 契約金は重要事項説明の後に払う
- 仲介業者は仲介手数料以外請求できない
- 当事者の合意により、契約は成立する
- 当事者の合意がないと、契約は成立しない
- キャンセル時、返金されない場合がある
賃貸借契約の取引は頻繁に行うものではありません。
分からないことが多く、不安な思いをされることもあると思います。
不安な思いは担当者の説明不足に起因します。
分からないことは何でも質問し、最低限の説明を受け(重説)納得してからお金を払いましょう。