今回は賃貸不動産経営管理士とは何か、どんな資格かを解説していきたいと思います。
結論から言うと、建物を管理する資格で、物件管理に携わる方には必要な資格といえます。
賃貸不動産経営管理士の取得を試みましょう。
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
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常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と、実情の把握
- 賃貸知識と、知恵の習得
- 取引の疑問と、不安解消
- 判断力と、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
賃貸不動産経営管理士とは簡単に言うと賃貸管理をするための資格です。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、法律)において、賃貸住宅管理業務を行ううえで設置が義務付けられている「業務管理者」の要件とされた法体系に基づく国家資格です。賃貸住宅管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家としてその能力を発揮し、賃貸不動産の管理を適切に行うことを通じて、賃貸不動産所有者の資産の有効活用、不動産に居住し利用する賃借人等の安全・安心を確保するといった非常に重要な役割を担っています。
一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会
上記の通り賃貸不動産経営管理士にできることは、建物の維持管理、入居者対応、資産の有効活用です。
今までは賃貸管理や経営に関しては特に資格などは必要なく、誰でも賃貸物件を所有することができます。
誰でも賃貸管理をすることができ(自分でもOK)、どんな小さな管理会社に依頼しても問題ありませんでした。
昨今賃貸物件は右肩上がりに増加しています。
資産家や投資家等に対し賃貸経営の提案を不正な手段で持ちかける業者や、賃貸物件の管理の質をめぐり、様々な問題やトラブルが発生するようになりました。
スマートデイズの、かぼちゃの馬車は有名ですよね。
そこで以前より業界団体により運営されていた、民間資格の賃貸不動産経営管理士が注目されるようになり、数年前から資格者の設置を促すようになっていました。
要するに賃貸経営(不動産投資)や運営に関わる事は、有資格者にきちんと対応してもらおうね、という事です。
そして2021年6月ついにこの民間資格は国家資格となり、新たな資格として走り出しました。
私も一応資格者なのでとても嬉しく、本サイトは経営管理士の独り言とも言えます。
賃貸不動産経営管理士の説明の中に、業務管理者というワードが入っていましたね。
業務管理者とは下記内容となります。
【業務管理者とは】(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第12条)
①賃貸住宅管理業者は、その営業所又は事務所毎に「業務管理者」を設置することが義務付けられます。
②「業務管理者」は賃貸住宅管理の知識及び能力・一定の実務経験等を持ち、国土交通省で定める要件を備えている者を指します。
③「業務管理者」には管理受託契約の内容の明確性、賃貸住宅の維持保全の実施方法の妥当性等の業務の管理及び監督に関する事務を行わせなければなりません。
④「業務管理者」が欠けた状態では管理受託契約を締結することはできません。
一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会
簡単に言うと賃貸管理をする場合は、必ず業務管理者が必要ですよって事です。
これがかなり大きいポイントです。
数ある管理会社や不動産屋には必須の資格となり、このために資格が必要となる業者が大量にあるので、需要はかなりあるのではないかなと思います。
ところで、この突如でてきた「業務管理者」という言葉、ややこしくないですか?
ややこしい原因は「賃貸不動産経営管理士の設置が必要」と書かれていないからです。
何で賃貸不動産経営管理士じゃないの?何で資格があるのにさらに業務管理者が必要なの?って感じですよね。
安心してください、答えは簡単、賃貸不動産経営管理士=業務管理者です。
もう少し言うと経営管理士が実務経験を積んだり、専用の講習を受けたりすると、業務管理者の称号がくっついてくる、と言う感じです。
試験に受かるだけで管理してもらうにはちょっと物足りないというか、まだ管理を任せられる状況じゃないよね、といった不安を補うための措置、といったところでしょうか。
経験がある方も多いと思いますが、実際に健全な管理を進める上では、試験だけだとなかなか難しい場面がありますからね。
もう一つ朗報。
実はこの業務管理者は宅地建物取引士の資格をお持ちの方も、講習を受ける事でもなれてしまいます。
実務経験がある方に限りますが、宅建、すごいですね。
この宅建代用の裏技(でもありませんが)は、私としては経営管理士の価値がさがってしまうというか、経営管理士を取得する必要ある?って感じもしてしまいます。
賃貸不動産経営管理士の人口がまだまだ少ないので、現時点での救済措置というか、しばらくは宅建士に補ってもらおうと言う意味合いでしょうか。
逆の発想で考えると、宅建が難しすぎて取得できない方への救済的な資格ともとらえる事ができます。
宅建ほどの知識がなくても管理はできるので、そのへんのポジションにあるのがこの賃貸不動産経営管理士とも言えます。
その分給料や資格手当には差が生じるかもしれませんね。
という事で、私は専門で携わっているので両方取得しましたが、急ぎでなければ頑張って宅建士だけを取得して業務管理者になればいいかなとも感じています。
宅建取得後、業務管理者になれれば、経営管理士を取得する必要はあまりありません。
もし宅建士の代用が救済的措置なのであれば、宅建士はゆくゆく業務管理者になれない、と言う事にもなるので、宅建があれば絶対にいらないかといえば、そうとも言えない状況ではあります。
試験は比較的簡単な部類に入ります。
今年2022年の合格点は40点とかなり高い水準となり、今回はとても簡単だったというお声をよく聞きました。合格率は31.5%となっており、レベルは徐々に上がっているものの宅建の約15%と比較しても取得しやすい部類の国家資格なのかなと感じます。
2022年の合格点は高すぎたという意見もあります。
来年以降は合格点は下がる(難しくなる)のではと噂されています。こういった観点からも、取得を考えている方は、早く取得して損することは何もないのかなと感じます。
昔は合格率85%、なんていう時期もありましたからね。
さらに試験の内容自体は宅建と重複する箇所がかなりあるので、宅建とのセット受験を色々な方が推奨していますね。
私も賛成ですが、私の頭脳では宅建の勉強をしている時は、とてもじゃないけど別の試験の勉強はできる状況ではありませんでした。
今の私であれば経営管理士の勉強をし、勉強の習慣や基本となる知識が身に付いたら、翌年宅建を受けると思います。
と言うことでまとめますと、現時点では堅実に賃貸不動産経営管理士を取得し、様々な要望や基本的な経験値を積める賃貸管理を学ぶ。
その後宅地建物取引士を取得してさらにハイレベルな不動産取引を学ぶ。
といった順序で、まずは賃貸不動産経営管理士の取得を試みる、と言う事を今回の結論とさせていただきます。
宅建の話も頻繁に出てきてしまいましたが、誰もが1度はこの2つを比較すると思います。
宅建士というのは取引のプロ、管理士というのは管理のプロ。同じ不動産に関わる資格で重なる部分もありますが、根本の内容と目的は違います。
不動産業に管理業という言葉が定着した証ではないでしょうか。
資格マニアの方や特殊な事情がある方以外は、結局のところ自分はどちらが向いているのか、どちらの仕事がやってみたいか、どちらが楽しそうなのか、など興味があるものを取得するべきかと思います。
個人的な取引と管理の経験から感じる事は、取引士の方がやはり一歩リードかなと感じます。
理由は取引が成立した時の達成感です。
特に不動産売買は取引を成立させるのは難しくハイレベル、単価も高額で責任も重大です。
取引を成立させるには両者の言い分を調整するわけですから、当然お互い自分に有利な条件を求めますし、気分も考え方もその時々で変化します。
無事に取引を終えた時は、知識も経験も達成感もやはり上回っていくでしょう。
ではまた。