今回は部屋探しをしている方に向け、賃貸借契約(ちんたいしゃくけいやく)の詳細について、内容や手順を解説していきたいと思います。
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と実情の把握
- 賃貸知識と知恵の習得
- 取引の疑問と不安解消
- 判断力、対応力の向上
結論
- 契約とは当事者同士の約束、口約束でも成立する。
- お金を払う場合は賃貸借契約、無料の場合は使用貸借契約となる。
- ルールの多い契約は書面で残しておく必要がある。
- 賃貸借契約の締結は、資格者が重要事項の説明をしなければならない。
それでは細かく見て行きましょう。
申し込み
内覧がおわり気に入った物件が決まりましたら、まず申し込みをします。
申し込みをすると募集が終了となり、その部屋を契約できる、という優先権を獲得する事ができます。
申し込み時に必要なものは本人の身分証と連帯保証人(緊急連絡人)情報です。この二つはほとんどの場合で必要です。
その他↓
- 印鑑、実印
- 収入証明、在籍証明
- 内定通知、採用通知、合格通知
- 住民票、印鑑証明
- 車検証
これらは不要の場合や、申込時や契約時に必要だったりと、不動産屋により違います。
内覧前に必要なものは確認しておくと良いでしょう。
また、連帯保証人や緊急連絡人の内容を書く為、申込時に分からない項目が結構あります。
例えば生年月日や勤務先情報等。
事前に確認する事ができれば良いのですが、当日連絡がつく状態にしておくと、聞きながら書く事ができるのでスムーズです。
申し込みは書面にて行いますが、最近はWEB申し込みといった方法も提示される場合があります。
申込書を記入し提出した時点で受付(一番手)となります。
交渉をしたいという方は、申込書を書く前のタイミングで行うことをお勧めします。
申し込みというのは各条件に納得してから行うものです。
家賃交渉、条件の交渉等は申込前に行う事がマナーであると言えます。
基本的に申込は無条件でキャンセルをする事ができます。
契約締結後であったり、キャンセル時の条件等に取り決めがある場合は、費用を請求されたりトラブルに発展する可能性もあります。
他に迷っている物件がある場合、申込をしないか、その事を正直に不動産屋に話しどうしたら良いか相談する事をお勧めします。
時間の経過と共に人は気分が変わります。
今は良いと思っていても後々やっぱり違うなと考えが変わったり、もっと良い物件があるのではないかと感じたりします。
特に高額なお取引や時間のかかるお取引においては、このような感覚が強まるのではないかと思います。
私は大丈夫と思っていても以外とあるものです。
くれぐれもお申し込みは慎重にされる事をおすすめいたします。
入居審査
申し込み後は入居審査があります。
入居審査では希望の物件を契約しても問題ないかを、貸す側が判断する為に実施します。
審査結果の理由が開示される事はありません。
管理会社や保証会社、貸主などの独自基準で判断されます。
入居審査が通貨しない場合、別の方法で再審査をする必要がありますが、別の方法がない(不可)場合は、契約をあきらめるしかありません。
入居審査では支払い能力があるかないかを調べます。固定の収入や年収、しっかりとした企業に勤めているか、勤続年数は、家族構成や同居人等を確認します。
基本的に過去の支払い記録や、滞納記録等を確認します。審査会社によっては携帯端末の支払い情報なども見られる場合もあるようです。
保証会社によると入居審査は95%の方が通過するといわれていますが、過去に滞納関係の記録がある方は契約をすることができない場合もあります。
転居理由や同居人の構成、勤務地などに違和感がある場合、指摘を受ける可能性があります。
また、高齢者や外国籍の方は条件が付加される事があります。
将来的には追加条件がなくなればよいなと感じていますし、そういった動きも少しずつ見られるようになってきています。
契約手続き
契約は民法上、口約束でも成立しますが、通常の賃貸借契約は不動産屋に行き、契約書に署名捺印をすると完了します。
契約時に初めて聞く内容や、事前の情報と違う、または納得できないような内容が含まれている場合、その時点での契約締結は避けた方が良いと考えられます。
契約時は「重要事項説明」といって宅地建物取引業法という法律に沿った書面を、資格者(宅地建物取引士)から説明を受ける必要があります。
その他関係する火災保険や保証会社の契約も同時に行う事が多いです。
最近ではオンライン内見とともに、IT重説と呼ばれるインターネットを活用した契約もありますので参考になさってみてください。
契約時に必要な書類は、冒頭に記載した通り、身分証、収入証明、住民票、印鑑証明等、不動産屋により異なります。
公的書類は発行日が3か月以内という指定がほとんどなので、事前に必要だと分かるようであれば、用意しておくとスムーズです
ちなみに印鑑は認印の使用が可能でシャチハタは不可。
保証人が必要な場合、保証人の実印が必要なケースが多いです。
引き落とし口座の情報やクレジットカードの申し込みが必要になる場合もあります。
契約金の入金
契約が無事済んだら入金をしましょう。
契約金の相場は賃料の5〜6ヶ月と言われています。
基本的に契約と入金はセットで、契約時に契約金を支払います。
契約金には敷金、礼金、前家賃、保証料、保険料、鍵交換代、仲介手数料等が含まれます。
費用は契約時に説明されますが、不明な費用がないか、不要なオプションのような費用が含まれていないか、きちんと確認しましょう。
また、仲介手数料は1ヵ月(+消費税)必要な不動産屋が多いです。
不動産屋によっては0.5ヵ月(+消費税)を標準としている不動産会社もあるので、同じ物件を契約する場合でも不動産屋によっては安くなる場合もあります。
敷金は退去時返金されますが、クリーニング代などが差し引かれる事が多いです。
その他礼金や手数料関係は返金されない費用となります。
費用に関しては言いたい事がたくさんあるので、それぞれ別の記事で詳しく解説をしています。
賃貸物件、交渉のコツは?家賃交渉、初期費用や月額費用、条件、タイミング等の交渉術を伝授。引き渡し
契約開始日を迎えるといよいよ部屋を使用する事ができます。
鍵は事前に受け取っている場合や、当日受け取りに行く場合もあるので、鍵の引き渡し日は契約時に確認しておきましょう。
引き渡し自体は鍵を受け取るだけなのですぐ終わりますが、印鑑や身分証が必要になる場合があります。
引っ越しは近隣へ配慮し迷惑のかからないよう作業をする必要があります。
駐車場の使用やオートロックの解放等を希望する場合、事前に確認しておきましょう。
また、近隣への挨拶回りは最近しない方が多く、自己判断となります。
私であれば両サイドのお部屋くらいは挨拶します。
引っ越し作業中は少なからず迷惑がかかります。
何かあったら言ってください、等のやりとりがあるだけでも、相手に安心感を与える事ができます。
入居してすぐ不具合や問題が発生する場合があります。
その場合は管理会社へ連絡し、改善してもらいましょう。
内容によりますが支障がないと判断された場合、現状使用となる場合もあります。
ライフライン関係は必ず直してもらいましょう。
また未申告により退去時に、高額な請求をされる場合もあります。
必ず下記記事の確認をしましょう。
まとめ
- 契約とは当事者同士の約束、口約束でも成立する。
- お金を払う場合は賃貸借契約、無料の場合は使用貸借契約となる。
- ルールの多い契約は書面で残しておく必要がある。
- 賃貸借契約の締結は、資格者が重要事項の説明をしなければならない。
それぞれのポイントでやる事が異なりますが、契約とは当事者同士の合意により成立します。
そして契約行為は書面である必要がなく、お金を払えば成立します。
賃貸借契約は、複雑な要素が多い為「書面に残しておこう」という事が一般的なのです。
契約書面(契約書や重要事項説明書)は複雑な要因となっています。
また契約の解除については通常、一か月前の告知義務を負います。
貸主からの解約は民法上は六か月前の告知義務と正当事由を要します。
タイミングによっては更新料なども発生する場合があるのでご注意ください。
契約に伴い不明な点がある場合は不動産屋にきちんと説明してもらい、曖昧な点がない状態で契約をする事を心がけましょう。
お部屋探しはタイミングです。
ではまた。