いよいよ賃貸業界で電子契約が全面解禁となりました。
電子契約って便利そうですよね。
しかし、いざ電子契約と言われても分からない事だらけではないでしょうか。
そもそも何から始めればよいか分からない方も多いでしょう。
この記事はこんな方にお勧めです。
悩み、疑問
- 電子契約ってどうやるの?
- 電子契約って誰でもできるの?
- 電子契約ってどこの不動産屋でもお願いできる?
- 電子契約っていつからできるの?
- 電子契約って信用できるの?
この記事の見解
この記事を読んでいる方の真の目的は「電子契約の不安を解消したい」という事ではないでしょうか。
実は電子契約は既に始まっていましたが、導入している不動産業者は現時点ではほとんどありません。
不動産業者でさえ詳しい人は少ない状況ですが、私はたまたま先駆け的に電子契約を行なっています。
単刀直入な感想は、とにかく便利です。
書面を必須としていた、不動産業界のアナログ時代と決別する、賃貸業界の革命だと感じます。
電子契約を取り扱っている不動産屋で取引をする時は活用をお勧めいたします。
また、非対応の不動産業者は、この記事を読み導入を検討してみてください。
結論
- 電子契約は便利
- 電子契約は非対応の業者が多い
- 安全、早い、安い(借主は無料)
- インターネットが苦手な方には不向き
- 説明が大変、説明しても伝わりにくい
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と、実情の把握
- 賃貸知識と、知恵の習得
- 取引の疑問と、不安解消
- 判断力と、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
電子契約で出来る事
賃貸借契約は通常、契約書と重要事項説明書は書面として発行し、締結します。
35条書面、37条書面と言います。
そして、それぞれの書類に直筆で署名と直に捺印を行います。
電子契約はこの作業をオンライン上で行う事ができます。
長年必須であった書面の取り交わし、郵送や返送がついに不要になったのです。
オンライン上の署名、捺印を「電子署名」。
重要事項説明を受け契約書類に電子署名を行う一連の行為を「電子契約」と呼びます。
PCやスマホがあれば一瞬で署名が出来てしまうのです。
スマホに手書きや、クリックだけで署名されるものもあります。
そしてオンライン内見、IT重説、電子契約の組み合わせで、一歩も外に出る事なく契約ができるようになったのです。
オンライン内見とは? やり方や聞くこと、注意点などを解説。 IT重説ってなに?対応物件やアプリなどを解説。電子契約で用いる用語解説
タイムスタンプ
電子書類改ざん防止技術「いつ」契約したかを証明する仕組み。
電子署名
電子書類改ざん防止技術「誰が」「何を」契約したかを証明する仕組み。
2要素認証
本人確認の仕組み。
署名者のメールアドレスにワンタイムパスワードが発行され、添付された暗号を入力することで署名者が本人であることを確認する。
電子契約は2022年5月から認められました。
不動産業者が、電子契約のシステムを扱っている会社と提携する事で利用できます。
2022年5月18日の法改正、デジタル改革関連法案により宅建業法が改正され、35条書面(重要事項説明書)、37条書面(賃貸借契約書)の電子交付が認められました。
宅地建物取引士の押印も不要となりました。
これにより大手不動産会社も、導入に本腰を入れるようになったのです。
電子契約は誰でもできますが、下記のような場合、電子契約をする事はできません。
- メールアドレスがない
- パソコン・スマートホンがない
- 不動産業者が未導入(非対応)
- 貸主、借主の事前承諾がない
メールアドレスとPCは取得すれば誰でも可能ですが、不動産業者が非対応の場合、電子契約はできません。
また、承諾なく強制的に電子契約を行う事も認められません。
現在はまだ様子見段階といった感じで、導入企業は少ない状況です。
電子契約は信用できます。
基本的に電子データの管理は不動産業者ではなく、第三者の専門機関にて行います。
関係者は当然いつでも閲覧することができます。
ペーパーの契約書と違い複数作成する必要もありません。
記入ミスや記入漏れ、改ざんなどの不正もできません。
記入漏れがなく、署名した時点での日付も確実に記録されるため、ペーパーの契約書よりも信頼度は高いと言えます。
電子契約はお金がかかります。
負担者は不動産業者となり、契約者の費用負担はありません。
金額は1ファイル300円前後。
契約書と重要事項説明書で2ファイルとなり、1契約あたり600円前後といったところです。
別途ランニングコストもかかります。
企業により料金は異なりますが、コストは半分以下と言われています。
送料や印刷代、人件費や速度を考えると確実に安くなります。
電子契約のやり方
大まかな流れは以下の通りです。
メールアドレス認証
認証済のメールアドレスに配信
スマホやパソコンにて電子署名
電子契約を行う場合、まず本人確認から行います。
本人確認の基本はメール認証です。
システムによりますが、メールアドレスを登録し、送られてきたメールのURLから、契約者情報等を入力します。
ネットショッピングのアカウント登録のような感じです。
・貸主
・借主
・仲介業者
・宅地建物取引士
全員が別々のメールアドレスが必要になります。
目的は本人確認です。
Gmail等のフリーメールでも問題はありません。
全員の認証が終わると準備は整います。
全員の認証が終わったら契約書と重要事項説明書をアップロードします。
不動産業者は今現在使用しているペーパーベースの契約書データをアップロードするだけです。
例えば下記のような契約書以外の書類アップロードも可能です。
- 請求書
- 保証委託契約書
- 火災保険書類
- ライフライン連絡先
- 配置図
- ゴミの出し方
契約者が課金される事は有りません。
アップロードが終わると関係者全員が閲覧できるようになります。
そして関係者全員が電子署名を行います。
電子署名というとわかりにくいですが、ボタンをクリックするだけです。
クリックすると、契約書データに日付(タイムスタンプ)入りの印影が表示されます。
電子署名イメージ↓
印影の場所は契約書作成者が指定できます。
ペーパー上で行う、署名・捺印と同様の効果を有します。
タッチパッドやマウスで操作する手書きの署名もあります。
電子署名には順番があり、下記のようなイメージで進めます。
電子契約の評価、まとめ
- 電子契約は便利
- 電子契約は非対応の業者が多い
- 安全、早い、安い(借主は無料)
- インターネットが苦手な方には不向き
- 説明が大変、説明しても伝わりにくい
現段階では私も不慣れで、説明に時間がかかっています。
本人確認と電子署名のやり方や意味合いの説明は、特に時間を要しています。
それでも郵送の時間や将来的な運用を差し引くと、トータルではお互いの更なる時間短縮に直結します。
また、ポイントとなる説明や補足事項は、経験から補う事ができ、今後さらに時間は短縮されます。
電子契約は個人的にメリットが圧倒的に勝ります。
今は躊躇している不動産業者も、ゆくゆくは必ず導入すると確信しています。
賃貸借契約はとにかく無駄と書類が多く、郵送などが発生するためとにかく遅いです。
賃貸の契約書が来ない。審査、申込後いつ届く?不動産屋に聞いても良い?を解説。契約はできる限り簡素化し、精度が高く、素早く終わらせられる、電子契約を活用しましょう。