賃貸物件の問い合わせをした時、担当者の回答に違和感を感じた事はありませんか?
おとり広告の可能性があるのでご注意ください。
この記事はこんな方にお勧めです。
- 担当者の回答が曖昧
- 見学を断られた
- 質問に答えてくれない
- なぜか違う物件を薦められた
- 言動が怪しい
実は不動産屋や担当者には優先して決めたい物件があるのです。
この場合いろいろと理由をつけて、決めたい物件に誘導します。
おとり広告の可能性もあります。
一番の要因は不動産情報が、閉鎖的かつ流動的、情報操作をしやすいという事です。
結論
- おとり広告は、契約のきっかけを作る手段
- おとり広告だと感じたら、元付業者へ確認
- 悪意のない場合もある
- 担当者は決めたい物件があり、誘導する
- おとり広告発生要因は、情報が閉鎖的かつ流動的
自己紹介
mai
賃貸一筋20年の宅地建物取引士。
賃貸業務一連の実務経験有り。
現在は年間約200本の賃貸借契約がメイン。
「満足度の高い取引の達成」を目指しましょう。
このサイトは、コンプライアンスを重視します。
常識から逸脱する行為は、事例として紹介することはありますが推奨はできません。
また、筆者の経験から派生した主観が含まれます。
ご意見、ご質問などお気軽にコメントください。
この記事を読むと得られる事
- 賃貸動向と実情の把握
- 賃貸知識と知恵の習得
- 取引の疑問と不安解消
- 判断力、対応力の向上
それでは細かく見て行きましょう。
賃貸のおとり広告は申込獲得の手段
実際に貸す意思のない物件や、貸す(売る)事のできない物件をおとり物件と呼びます。
このようなおとり物件の広告をおとり広告と言います。
悪質な不動産業者は、おとり広告を意図的に掲載し、情報を発信します。
おとり広告は誇大広告の一種で、宅地建物取引業法第32条で禁止されています。
おとり広告の目的は利益向上、おとり物件で獲得した反響から、別の物件に誘導し、契約のきっかけを作る手段となります。
(誇大広告等の禁止)第三十二条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
宅地建物取引業法第三十二条
広告掲載は下記手順で進みます。
物件によりますが、複数の仲介会社が同じ物件の広告を出すことが可能です。
元付業者の情報は、信用度が高いと言えます。
この過程で得た情報を、おとり広告として活用する場合があります。
おとり物件は一見条件の良い、割安な物件が多いでしょう。
条件の良い割安な物件なので、当然問い合わせが多く入るのです。
おとり物件に問い合わせをすると「ちょうど申込が入ってしまった」とか「その物件は抽選が必要で時間がかかります」とよく分からない理由で断られます。
そして担当者が決めたい別の物件へと誘導していくのです。
最近は募集サイトの取り締まりも強化され、減ってきてはいます。
悪意がない場合もある
意図的ではなく、本当に募集をしていて、本当に申込みが入ってしまったという事が多数あります。
問い合わせをした物件に限って、申込が入ってしまった、という事は少なからずあるでしょう。
申込の重複は基本的に無くす事ができません。
理由は同時進行で複数の方が同じ物件を見ているからです。
これを防ぐ方法があるとすれば、公開前に確保しておく事です。
不動産業者によっては公開前に連絡をくれる場合があります。
物件が特定され、かつ、入居時期がいつでも良ければ有効な手段であるといえます。
人気物件は早期に募集が終了となる確率が高いです。
インターネット掲載をした直後であっても、既に申し込みが入っている事もあるでしょう。
理由はあなたが気に入った物件は、他の方も気に入っている可能性が高いからです。
同世代の方が行き着く物件は、どうしても似てしまうのです。
おとり広告という確証は持てませんが、諦めざるを得ません。
不動産業者は毎日のように、物件チェックをしています。
空室状況を貸主に確認し、手作業で掲載、非掲載をメンテナンスしています。
新着物件が出ればインターネットへ掲載し、成約物件があれば掲載を下げます。
更新頻度にもよりますが、例えば1,000物件掲載している場合、毎日1,000件のチェックはできません。
このような場合、反響ベースでの確認になってしまう事がある為、結果的におとり広告になっている場合があります。
また、インターネット広告は、時間差があります。
募集終了の情報が即時反映しない場合がある為、悪意のない不動産会社であっても、防げないこともあります。
善意、悪意の見分けが付きにくいのです。
最近ではインターネット掲載を自動化している不動産業者も増えており、減少傾向にはあります。
おとり広告、元付業者の見分け方
おとり広告を見分けるコツは、元付業者への確認が効果的です。
元付業者とは情報の発信源である大元の不動産業者です。
おとり広告だと感じたら、元付業者へ連絡し、現在の募集状況を確認するようにしましょう。
元付業者は性質上おとり広告を取り締まる側にいる為、信頼度が高いと言えます。
また、最近では誤情報などを発見した場合、インターネットサイトからそのまま通報できるような仕組みもあります。
複数ある不動産業者の中から元付業者を見分ける事は、一般の方には難しいかもしれません。
現地に行くかGoogleストリートビューを活用し、物件に設置してある看板から問い合わせをしてみましょう。
絶対ではありませんが、比較的元付業者に辿り着く可能性は高いと言えるでしょう。
元付業者での契約は信頼度が高く、建物や管理の状態を熟知している可能性が高いです。
仲介会社は基本的に元付業者からの情報を基に契約を行います。
客付業者は基本的にワンテンポ遅れます。
手数料等の違いもある為、一概に言えませんが、元付業者の方が取引としてはスムーズになる可能性が高いといえます。
担当者が決めたい物件4選
担当者は決めたい物件が少なからずあります。
会社都合、自己都合等様々です。
お客様を案内する時は、当然そのような事を感じさせません。
あえて条件に合わない物件を見せたり、少し不利な物件をあてがったりして、決めたい物件にそれとなく誘導していくのです。
アテブツ、ミセブツ、キメブツ等と言います。
物件により広告料(AD)という名目でお金をもらう事ができます。
広告料は賃料の1ヵ月前後で設定されている事が多く、物件を契約すると貸主から仲介手数料とは別に支払われます。
10万円の物件を仲介すると、約20万円もらえるという事になります。
広告料に関してはこちらの記事で詳しく解説しております。
仲介手数料、なぜ無料?なぜ半額?無料は怪しい?からくりや理由を解説。また、個人バックと言って、広告料を会社を通さず営業担当者(個人)に直接くれる大家さん(貸主)がいます。
例えば物件を決めてくれたら、担当者に3万あげるとか、商品券をあげるとか、クオカードをあげるとか。
個人バックがあると、営業担当はその物件を契約しようと頑張るのです。
では何故、広告料や個人バックがあるのでしょうか。
一概には言えませんが、基本的には人気が無い物件だからです。
問い合わせをしたせいで、人気のない物件を薦められてしまう事になるのです。
大家さんとの関係について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にどうぞ。
大家さんとは?大家の資格は?管理会社、仲介会社との関係を解説。不動産業者は管理を委託されている場合があります。
管理にも種類がありますが、管理を依頼され管理料をもらっている以上、部屋が空いていると気まずいのです。
大家さんはまだ決まらないの?とプレッシャーもかけてきます。
最悪、管理を解約されてしまう事もあります。
担当者としては、プレッシャーのかからない、他社管理の物件よりも、大事な自社管理の物件を優先して紹介するのです。
一括借上げとは?サブリースとの比較や失敗、解約について解説。仲介会社は基本的に目標やノルマがあります。
目標に届かない場合、問い合わせをした「あなた」で何としても決めたいので、自分の得意な物件を薦めます。
もちろん管理物件や広告料のある物件も織り交ぜながら。
あなたのニーズに合致していれば理解はできますが、強引に推し進めようとする人も中にはいるので、くれぐれも注意をしましょう。
まとめ
- おとり広告は、契約のきっかけを作る手段
- おとり広告だと感じたら、元付業者へ確認
- 悪意のない場合もある
- 担当者は決めたい物件があり、誘導する
- おとり広告発生要因は、情報が閉鎖的かつ流動的
違和感を感じる要因は「不動産情報が閉鎖的」という事が一番の要因です。
閉鎖的なので善悪の判断がしにくく操作ができてしまうのです。
部屋探しはタイミング、おとり広告に出会うのもタイミングです。
悪質な不動産屋や担当者の言動、情報に惑わされず、後悔する事のないよう冷静に対処しましょう。
ではまた。